【その節税、経営の首を絞めていませんか?】
P/L重視の落とし穴と、キャッシュフロー経営の本質
はじめに|「無駄な税金は払いたくない」は正しい、でも…
経営者であれば、「税金はなるべく少なくしたい」と思うのは当然です。
それは間違っていません。むしろ、合法的な節税策を講じることは、経営者としての重要な判断の一つです。
ですが──
「節税のためにキャッシュを減らす」という行動が、
あなたの経営の未来を圧迫しているかもしれないことに気づいていますか?
よくあるケース|節税に走るあまり資金が残らない会社
- 社歴10年を超える老舗企業
- 決算上は毎年黒字
- ところが、現預金が数百万円しかない
- 設備投資や採用のタイミングで資金が足りず、動けない
- 銀行の評価も伸びない
このような企業は、過度な節税とP/L偏重の経営に陥っていることが多いです。
節税=キャッシュアウト? 見落とされがちな本質
節税策の多くは、こういった“キャッシュを伴う”支出です:
節税策の例 | 実際の動き |
---|---|
高額な保険への加入 | 数百万円の現金支出 |
期末の駆け込み設備投資 | 多額の出費を伴う |
役員報酬の引き上げ | 給与と社会保険料の負担 |
節税目的の福利厚生制度 | キャッシュアウト増加 |
確かに、損金計上により法人税は減ります。
しかし、キャッシュフローは確実に悪化します。
なぜ節税に走るのか?「P/L重視の罠」
多くの経営者が陥るのが、損益計算書(P/L)だけを見る経営です。
- 「利益が出すぎたら税金が増える」
- 「だから、経費を増やして調整しよう」
- 「とにかく黒字幅を減らそう」
この発想は短期的には安心感を得られますが、中長期的には危険です。
銀行はどこを見ている? それはB/Sとキャッシュフロー
金融機関が評価するのは、以下のような数字です:
見る指標 | 内容 | 意味すること |
---|---|---|
現預金残高 | 実際の資金 | 返済余力の証明 |
自己資本比率 | 安定性 | 経営体力の評価 |
キャッシュフロー計算書 | お金の動き | 本業で資金が増えているか |
👉 税金が少ない会社=評価が高い会社ではありません。
資金が残っていない会社は、融資対象として見られません。
節税のしすぎが生む“信用力の低下”
節税ばかりに偏った結果:
- 現預金が不足し、資金繰りが苦しくなる
- 設備投資・採用などの打ち手が打てない
- 銀行融資の審査に落ちる
- 社会的信用(格付)が低下する
- 「事業拡大したいのに資金がない」状態に
つまり、未来の成長機会を、自ら捨てているのです。
本当に良い経営とは? キャッシュを残す意識
✅ 適切に税金を支払いながら、キャッシュを残す経営
これこそが、金融機関・取引先・社員から信頼される企業の姿です。
経営スタイル | 特徴 | 評価 |
---|---|---|
P/L偏重 | 節税に走る/現金不足 | 評価低い |
B/S重視 | キャッシュフロー重視/借入に強い | 評価高い |
これからの経営者に必要な意識改革
✖「利益を減らして税金を減らす」
↓↓
◎「利益を出しつつ、現金を残し、健全な納税をする」
これは、決して税金を無駄に払えという意味ではありません。
節税は手段であって、目的ではないのです。
財務改善アドバイス|こう考えよう
- 節税効果だけでなく「キャッシュフローの動き」も見る
- 毎年の期末駆け込み経費を見直す
- 融資を受ける前提で決算書を作る
- 利益を残すことで、借入・助成金などの活用がしやすくなる
- P/Lだけでなく、B/Sと資金繰り表を毎月チェックする
まとめ|その節税、本当に“経営”のためですか?
✅ 無駄な税金は払う必要はありません
✅ でも、キャッシュが枯渇するほどの節税は危険
✅ 税金を払う=社会的信用を得る行為でもある
✅ キャッシュを残して、未来の投資に備える経営を
最後に|数字を武器に、成長を止めない経営を
「税金を払うのがもったいない」
その気持ちは、誰しも持っています。
しかし、目の前の節税にこだわるあまり、事業の未来を狭めていませんか?
私たちは、利益とキャッシュの両方を見ながら、経営の伴走者として支援します。
税金に怯えず、キャッシュに困らない経営を一緒に作りましょう。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。