経理

生命保険料が払えなくなった時でも諦めないで!

〜契約を継続するための2つの方法と注意点〜


はじめに

経営者の皆さまにとって、生命保険は万が一の備えであり、家族や会社を守るための大切な保障です。
しかし、経営が厳しくなったときや資金繰りが悪化したとき、真っ先に見直しの対象となるのが「保険料の支払い」です。

「保険料が払えなくなったら、自動的に解約されて終わり…」
そう思っている方も多いですが、実はすぐに解約する必要はありません。

生命保険には「払い済み保険」や「延長定期保険」など、契約を継続するための制度が用意されています。
この記事では、これらの仕組みを経営者にわかりやすく解説し、保険を守るために知っておくべきポイントを整理します。


保険料が払えないとどうなる?

通常、保険料の支払いが滞ると、以下の流れで契約は失効へ向かいます。

  1. 保険料未納が発生
  2. 猶予期間(通常は1~2か月)
  3. 猶予期間を過ぎても支払われなければ契約失効

ただし、解約返戻金のある保険の場合は、解約返戻金を活用して契約を継続する仕組みが用意されています。

それが以下の2つです。

  • 払い済み保険
  • 延長定期保険

払い済み保険とは?

仕組み

  • これまで積み立てた解約返戻金を元手に、保険料の支払いをやめても保障が続く制度。
  • 保険金額は減額されるが、保険期間はそのまま継続できる。

メリット

  1. 保険期間が変わらない
  2. 保険料の支払いが不要になる
  3. 将来にわたり基本的な保障が残せる

デメリット

  1. 保険金額が大幅に減る
  2. 特約(入院特約や医療特約など)はすべて消滅する
  3. 元に戻すことはできない

延長定期保険とは?

仕組み

  • 保険金額は変えずに、解約返戻金を活用して「定期保険」として契約を延長する制度。
  • 保険金額は同じだが、保険期間が短くなる。

メリット

  1. 大きな保障額をそのまま維持できる
  2. 保険料の支払いが不要になる
  3. 一定期間だけでも高額保障を残せる

デメリット

  1. 保険期間が短縮される
  2. 特約はすべて消滅する
  3. 延長された期間が終われば保障も消滅

払い済み保険と延長定期保険の比較

項目払い済み保険延長定期保険
保険金額減額される元の金額を維持
保険期間変わらない短縮される
特約すべて消滅すべて消滅
向いている人長期間の保障を維持したい人大きな保障を短期間でも残したい人

👉 どちらを選ぶかは「保障額を優先するか」「保障期間を優先するか」によります。


経営者に多い誤解と注意点

  1. 「保険料を払えなければすぐ解約」 → ×
    → 払い済みや延長定期で継続可能。
  2. 「特約も残せる」 → ×
    → どちらを選んでも特約は消滅する。
  3. 「一度選んでも戻せる」 → ×
    → 元には戻せないため慎重な選択が必要。

具体的なシナリオ例

ケース1:経営が厳しく長期的に保険料を払えない

→ 払い済み保険に切り替え、減額後でも長期的な保障を維持

ケース2:会社の借入があり、短期間だけでも大きな保障が必要

→ 延長定期保険を選び、返済が終わるまでの期間だけ保障を確保


経営者が取るべきアクション

  1. まずは解約返戻金の金額を確認
  2. 払い済みと延長定期の試算を出して比較
  3. 家族・会社の状況に応じて選択
  4. 特約が消滅することを理解してから決断

まとめ

  • 保険料が払えなくても、解約せずに契約を継続できる制度がある
  • 「払い済み保険」:保障額は減るが期間は維持
  • 「延長定期保険」:保障額は維持だが期間が短縮
  • どちらも特約は消滅するので注意
  • 経営者は資金繰りと家族保障の両面から判断を

最後に

私はこれまで多くの経営者様の保険見直しに立ち会い、「知らなかったために必要な保障を失った」というケースを数多く見てきました。
保険は単なる節税や経費対策ではなく、会社と家族を守る大切な備えです。

もし保険料の支払いに困っても、諦める前に「払い済み」「延長定期」という選択肢を検討してください。
それが、経営者として賢く家族を守る第一歩となります。

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