【2026年最新】原油高・コスト増に効く「5つの国策支援」|中小企業の資金繰り・価格転嫁対策

こんにちは!税理士の長岡です。今回は、「原油高・コスト増に効く「5つの国策支援」について!」の内容になります。
原油価格や原材料・エネルギーコストの上昇が続くと、じわじわ効いてくるのが仕入負担の増加と利益率の低下です。売上は前年並みなのに手元資金が減っていく——いわゆる「黒字なのに苦しい」状態は、こうしたコスト増局面で必ず起こります。
国はこうした影響を受ける中小企業・小規模事業者に向けて、資金繰り・価格転嫁・設備投資の3方向から支援策を用意しています。この記事では、今すぐ確認しておきたい5つの支援策を、認定経営革新等支援機関の視点で整理しました。
なぜ今、動く必要があるのか
コスト増の怖いところは、損益計算書より先に資金繰り表に出る点です。仕入価格が上がれば、売上が同じでも支払額は増えます。回収は従来どおり翌月以降なので、その差が運転資金として重くのしかかります。
そして厄介なのが、決算まで気づきにくいこと。月次で粗利率を見ていない会社は、たいてい「なんとなく資金が減っている」段階で相談に来られます。使える制度は、業績が悪化しきる前のほうが選択肢が広い——これが実務上の鉄則です。
今すぐ確認したい「5つの支援策」一覧
| 支援策 | こんな時に活用 | ポイント |
|---|---|---|
| セーフティネット貸付 | 資金繰りが不安 | 金利引下げ措置あり |
| 資金繰り配慮要請 | 返済・借入を相談したい | 早めに金融機関へ共有 |
| 価格転嫁配慮要請 | コスト増を価格に反映したい | 根拠資料の整理が重要 |
| 重点調査 | 価格転嫁が進まない | 交渉経緯を残す |
| 設備投資支援 | 省エネ・生産性向上を進めたい | 補助金活用を検討 |
① 日本公庫等によるセーフティネット貸付の金利引下げ
日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)について、支援対象が「中東情勢により今後の影響が懸念される事業者」にまで拡大されています。
そのうえで、一定の要件を満たす場合には基準利率から0.4%の金利引下げが受けられます。適用の目安は、①原油価格上昇をはじめとする原材料・エネルギーコスト増、または中東・ウクライナ情勢の変化の影響を受けており、かつ②最近の売上高が前期比で5%以上減少していること。さらに2026年4月1日からは、中東情勢による取引・生産の減少や停止等の影響を受けている場合も引下げ対象となるよう要件が拡充されました。
この制度は、設備資金・運転資金の双方に使えます。燃料費や仕入価格の上昇で資金繰りに不安がある場合は、数字が悪化しきる前の相談が重要です。
② 金融機関に対する資金繰りへの配慮要請
国は官民の金融機関等に対し、中東情勢の影響を踏まえた事業者支援を徹底するよう要請しています。返済条件の見直し、新たな資金調達、既存借入の相談などが対象です。
実務でお伝えしたいのは、「状況が厳しくなる前に共有しておく」ことの価値です。返済に困ってから相談すると、金融機関側は「なぜもっと早く言わなかったのか」という受け止め方になります。逆に、コスト増の影響を数字で説明しながら早い段階で相談していれば、条件変更にせよ追加融資にせよ、話が前に進みやすくなります。
③ 価格転嫁に係る配慮要請
原材料価格やエネルギーコストの上昇は、企業努力だけで吸収しきれるものではありません。国は関係業界団体や行政機関等に対し、適切な価格転嫁や取引適正化への配慮を要請しています。2026年1月には取引適正化に関する法律も施行され、一方的な代金決定や「買いたたき」は禁止されています。
ただし、制度があっても準備がなければ交渉のテーブルには乗れません。取引先との価格交渉に備えて、次のものを整理しておいてください。
- 燃料費・原材料費・物流費などの上昇額と上昇率(いつからいくら上がったか)
- その結果、製品1個あたりの原価がいくら上がったか
- 自社で吸収した分(歩留まり改善、経費削減など)の実績
「材料が上がったので値上げをお願いします」ではなく、「◯月からA材料が◯%上昇し、製品1個あたり◯円の原価増となっています。うち◯円は当社の改善で吸収しましたが、残る◯円のご相談です」。ここまで示せるかどうかで、交渉の通り方はまったく変わります。
④ 取引Gメン等による価格転嫁の状況に関する重点調査
取引Gメン等により、中東情勢の影響を踏まえた価格転嫁の状況について重点調査が行われます。
価格交渉が進まない、コスト増を取引価格に反映しづらいといった場合には、交渉経緯や見積根拠を記録として残しておくことが大切です。いつ、誰に、どのような資料を示して、どう回答されたのか。自社の状況を説明できる資料づくりが、取引適正化への第一歩になります。
⑤ 設備投資支援|補助金で「コスト構造そのもの」を変える
技術的革新性のある製品・サービス開発などを支援する「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」において、中東情勢の影響を克服しようとする事業者は、優先的な採択の対象とされています。
省エネ設備の導入、生産性向上、燃料・原材料コストの削減につながる投資を検討している場合は、補助金の活用が選択肢になります。資金繰り支援が「時間を買う」対策だとすれば、設備投資は「コスト構造そのものを変える」対策です。①〜④で時間を確保しながら、この⑤で体質を変える。この組み合わせが理想形です。
あわせて確認したい|セーフティネット保証5号
チラシには載っていませんが、実務上あわせて押さえておきたいのがセーフティネット保証5号です。全国的に業況が悪化している業種に属することで経営の安定に支障が生じている中小企業者に対し、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証を行う制度です。
中東情勢の影響を踏まえた臨時の業況調査に基づき、2026年7月1日に583業種が指定されました(同年4月1日の指定は520業種)。自社の業種が指定されているかどうかは、必ず確認する価値があります。
相談窓口はどこに?
「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」が、全国約1,000カ所に設置されています。日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、よろず支援拠点などが窓口です。
また、企業間の取引全般に関する相談については、弁護士等による無料相談などで対応する「取引かけこみ寺」が全国48カ所に設置されています。
まず自社で確認したい3つの数字
制度を使う前に、経営者ご自身に確認していただきたい数字が3つあります。
- 直近12か月の売上総利益率の推移:何%落ちているか。1%の低下が年間いくらの利益減になるか
- 価格改定の実施状況:主要取引先のうち、何社に何%の値上げを打診し、何社が受け入れたか
- 3か月先の資金残高見込み:現預金がいちばん薄くなる月はいつで、いくらか
この3つが出てくれば、5つの支援策のうちどれを、どの順番で使うべきかが自然と決まります。制度から入るのではなく、自社の数字から入る——これがいちばん失敗しない進め方です。
認定経営革新等支援機関として、当事務所がお手伝いできること
- 資金繰り表の作成と、3か月〜1年先の資金予測
- コスト上昇額の可視化と、価格交渉用の根拠資料づくり
- 金融機関への説明資料の作成、融資・条件変更のご相談
- 省エネ・生産性向上投資に向けた補助金の選定と申請サポート
- マネーフォワードクラウド会計を活用した月次モニタリング体制の整備
よくあるご質問
Q. 売上は落ちていませんが、対象になりますか?
A. 制度ごとに要件が異なります。金利引下げのように売上減少要件があるものもあれば、価格転嫁支援のように売上に関係なく活用できるものもあります。まずは自社の状況を整理したうえでご相談ください。
Q. 借入を増やすことに抵抗があります。
A. 手元資金に余裕がある局面で借りておくほうが、条件も選択肢も良くなります。「借りる/借りない」ではなく「いつ、いくら、どの制度で」を考えることをおすすめします。
Q. 値上げ交渉で取引を切られるのが怖いのですが。
A. その懸念はよく分かります。だからこそ、感情論ではなく根拠資料で臨むことが大切です。国が取引適正化を求めている今は、交渉を切り出しやすい時期でもあります。
まとめ
原油高やコスト増は、利益や資金繰りに確実に影響します。国の支援策を早めに確認し、自社で使える制度がないかを点検しておきましょう。
大事なのは、「困ってから」ではなく「読めているうちに」動くこと。数字の整理から、金融機関への説明、補助金の選定まで、ご一緒に進めます。まずは現状をお聞かせください。
資金繰り・価格転嫁のご相談はお気軽に
長岡会計事務所(兵庫県芦屋市)/認定経営革新等支援機関
各種補助金申請・経営改善計画書の作成・優遇金利での資金調達・創業支援に対応しています。
※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。指定業種・要件・金利等は変更される場合がありますので、実際のご利用にあたっては中小企業庁の公表資料および各金融機関・信用保証協会にご確認ください。
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