キャッシュフロー経営で会社を強くする!経営者が学ぶべきこと
キャッシュフロー経営が会社を成長させる!
〜税理士任せではなく、経営者が学ぶべきお金の本質〜
はじめに:「利益が出ているのに、なぜお金が足りない?」
多くの中小企業経営者が一度は感じたことがあるこの疑問。
「決算は黒字なのに、通帳残高が増えない」——。
それは、利益とキャッシュフローの違いを理解していないことが原因です。
会社を成長させるためには、「利益を出す経営」から「お金を増やす経営」へとシフトする必要があります。
この考え方を「キャッシュフロー経営」と呼びます。
しかし、残念ながら多くの経営者はこの“お金の流れの経営”を体系的に学ぶ機会がなく、
税理士もまた、すべての人が得意とは限りません。
この記事では、
- キャッシュフロー経営の本質
- 経営者が学ぶべき具体的な知識
- 税理士が教えてくれること・教えてくれないこと
- 成長企業が実践している「お金の見える化」手法
をわかりやすく整理して解説します。
第1章 キャッシュフロー経営とは?「利益」ではなく「お金」を見る経営
キャッシュフローとは「お金の流れ」
キャッシュフローとは、会社に入ってくるお金(入金)と出ていくお金(出金)の動きのこと。
つまり、「お金の流れ」を数値化したものです。
どんなに利益が出ていても、お金がなければ会社は続きません。
お金が尽きた瞬間に経営は止まります。
だからこそ、キャッシュフロー=会社の生命線なのです。
キャッシュフロー経営の目的
キャッシュフロー経営の目的は、「お金の流れをコントロールして、会社を成長させること」。
単に資金繰りを管理するだけでなく、
「どこにお金を使えば成長するか」「今の投資が将来どう影響するか」を数字で判断できるようにします。
利益経営との違い
| 視点 | 利益経営 | キャッシュフロー経営 |
|---|---|---|
| 見ている数字 | 損益計算書 | 資金繰り表・CF計算書 |
| 判断基準 | 売上・利益 | 現金残高・資金余力 |
| 経営の姿勢 | 攻め重視 | 攻めと守りのバランス |
| 最大の目的 | 黒字を出すこと | お金を残すこと |
利益があっても、入金が遅れたり返済が多ければ資金は減ります。
逆に、利益が少なくてもお金を増やせる経営はあります。
それがキャッシュフロー経営です。
第2章 なぜ「キャッシュフロー経営」を知らないと会社は伸びないのか?
理由① お金の動きを知らずに投資すると危険
キャッシュフローを見ずに新店舗や設備投資を決めると、
「利益は出たけど現金が減った」という結果になります。
「利益」は決算書上の数字。
「お金」は現実の通帳残高。
この2つのズレを理解していないと、会社はいつか資金ショートします。
理由② 税金や返済が“突然”会社を追い詰める
税理士が作る試算表では、税金支払や返済の“タイミング”までは反映されていません。
そのため、「想定外の支払い」が発生しやすい。
キャッシュフロー経営では、これらを事前に見える化しておくため、
資金ショックを回避できます。
理由③ 銀行に信頼されない
銀行が経営者に求めているのは「数字の理解力」です。
キャッシュフローを理解している社長は、説明が論理的で信用を得やすい。
逆に、「税理士に聞いてみないとわからない」という経営者は、
融資判断で不利になります。
第3章 経営者が学ぶべきキャッシュフロー経営の3つの知識
キャッシュフロー経営を学ぶときは、難しい会計理論ではなく、
“経営に必要な最低限の3つ”から始めれば十分です。
① 「お金が減る3つの原因」を理解する
お金が減る主な原因は3つ。
- 利益が出ていない(単純な赤字)
- 売上増加で仕入・外注・人件費が先行している(成長型資金不足)
- 借入返済・税金支払いが資金を圧迫している(構造型資金不足)
どのパターンに該当しているかを把握すれば、打つべき対策が見えてきます。
② キャッシュフロー計算書(簡易版)を読めるようにする
キャッシュフロー計算書と聞くと難しそうですが、
簡易版で十分です。
たとえば:
| 区分 | 金額 | コメント |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | +300万円 | 本業で生み出したお金 |
| 投資キャッシュフロー | −200万円 | 設備投資に使ったお金 |
| 財務キャッシュフロー | −50万円 | 借入返済で出ていったお金 |
| 差引現金増減 | +50万円 | 今期のお金の増減 |
営業CFがプラスなら“稼ぐ力あり”。
投資CFがマイナスでも“成長投資”ならOK。
このように、お金の動きを目的別に把握することが重要です。
③ 「資金繰り表」で未来を読む力を身につける
キャッシュフロー経営は、過去を見るものではなく、未来を読むためのツールです。
- 来月の資金残高はいくらか?
- 税金・賞与・返済が重なる月は?
- 3か月後に資金ショートしないか?
これらを見通すために「資金繰り表」を使います。
経営者自身がこの表を理解していれば、経営判断の精度は格段に上がります。
第4章 では、税理士はどこまで教えてくれるのか?
4−1 税理士の強み:「過去の数字」と「節税」
税理士は、会計・税務のプロです。
損益計算書や貸借対照表の整備、申告書の作成、節税提案は得意分野。
しかし、キャッシュフロー経営は「未来」を扱うため、
得意・不得意がはっきり分かれます。
4−2 税理士が苦手な領域:「未来の資金設計」
税理士の中には、資金繰りやキャッシュフロー分析に明るい人もいますが、
すべての税理士がこの領域を深く理解しているわけではありません。
なぜなら、税理士試験にはキャッシュフロー分析が出題されないからです。
したがって、経営者が「未来の資金戦略」を学びたいなら、
- 財務コンサルタント
- 銀行出身の資金繰り専門家
- キャッシュフローコーチ®
といった専門家の力を借りることも選択肢です。
4−3 理想は「税理士+財務のアドバイザー」の二刀体制
税理士が会計・税務を守り、
財務コンサルタントが資金・成長戦略を導く。
この二刀体制が、キャッシュフロー経営を実践する最短ルートです。
特に、「税理士事務所 × 財務顧問」の連携モデルは、
いま全国で急速に広がっています。
第5章 キャッシュフロー経営を身につける3つのステップ
ステップ① 「数字を見える化」する
まずは現金の流れを“見える化”することから。
- 毎月の入金・出金を一覧化
- 現金残高を常に把握
- 3か月先の資金予測を立てる
これだけで「感覚経営」から脱却できます。
ステップ② 「数字を読む」力をつける
次に、数字の“意味”を理解します。
- 利益が出ているのにお金が減るのはなぜ?
- 借入返済のペースは適正か?
- 売上を増やすより利益率を上げるべきか?
こうした問いに答えられるようになると、経営判断が早く・正確になります。
ステップ③ 「数字で語る」力を磨く
最後に、金融機関・社員・投資家に対して数字で語れるようになる。
銀行面談で「来期の資金繰り見通し」を自分の言葉で説明できる社長は、
必ず信用されます。
数字を語れる社長=信頼される社長。
これがキャッシュフロー経営を学ぶ最大の成果です。
第6章 キャッシュフロー経営が会社を成長させる理由
- ムダな投資を防げる
- 資金繰りの不安がなくなる
- 社員が安心して働ける
- 銀行や取引先から信頼される
- 利益とお金の両立ができる
「お金が足りないから守る経営」ではなく、
「お金の流れを読んで攻める経営」へ。
これがキャッシュフロー経営がもたらす最大の変化です。
第7章 学び始める経営者へ:おすすめの第一歩
- 自社の資金繰り表を3か月分つくる
- 簡単なキャッシュフロー計算書を理解する
- 月1回、税理士または財務顧問と資金会議を開く
- お金の流れを社員と共有する(特に管理職)
「数字は苦手」と言う社長も、まずは1ページで十分です。
自分の会社のお金の流れを“自分の目で見て理解する”ことが、
キャッシュフロー経営のスタートラインです。
まとめ:税理士任せでは成長できない。“数字を操る社長”になろう
| 項目 | 税理士に任せられる | 経営者が自分で学ぶべき |
|---|---|---|
| 会計・税務処理 | ◎ | △ |
| 資金繰り管理 | △ | ◎ |
| キャッシュフロー分析 | △〜○ | ◎ |
| 経営判断・資金戦略 | × | ◎ |
キャッシュフロー経営は、社長の思考を「利益」から「お金」へ進化させる経営哲学です。
税理士は重要なパートナーですが、最終的にお金の舵を取るのは経営者自身。
数字を読む力を身につければ、
会社は「資金に振り回される経営」から「資金で成長をつくる経営」へ変わります。
今日から始めましょう。
キャッシュフロー経営は、最強の成長戦略です。
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芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。