税金

【個人事業主必見】青色専従者給与で賢く節税!要件・効果・金額設定の極意


はじめに|「家族に給与を払う」という節税術

個人事業主の中には、配偶者や子ども、親など、家族が事業を手伝っているケースは多くあります。
しかし、その労働に対して正しく給与を支払っているか? と聞かれると、「生活費の一部を渡しているだけ」という方も少なくありません。

もしあなたが青色申告をしている個人事業主なら、「青色専従者給与」という制度を使えば、家族への給与が全額必要経費として認められ、所得を減らして節税できる可能性があります。


青色専従者給与とは?

青色申告を行っている個人事業主が、生計を一にする家族に給与を支払い、それを全額経費にできる制度です。

例えば、妻に年間240万円の給与を払えば、その240万円分は事業所得から控除されます。
給与を受け取った妻は、所得税や住民税を負担することになりますが、一定の範囲内なら課税が軽く済み、世帯全体での税負担を減らすことが可能です。


適用を受けるための要件

青色専従者給与には、以下の要件があります。

  1. 青色申告者であること
    → 白色申告者は対象外
  2. 専従者が「専ら事業に従事している」こと
    → 原則として年間6か月以上、他の仕事に従事せずに事業を手伝っている
  3. 生計を一にする親族であること
    → 配偶者、子、親、兄弟姉妹など
  4. 就業実態に見合った金額であること
    → 相場より高額な給与は認められない
  5. 事前に税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出すること
    → 提出期限は、その年の3月15日まで(新規開業の場合は開業日から2か月以内)

導入による節税効果のシミュレーション

ケース1|設定しない場合

  • 事業主の所得:500万円
  • 所得税率:20%
  • 住民税率:10%

→ 年間税額は約150万円(500万円×30%)


ケース2|妻に年間200万円の青色専従者給与を設定した場合

  • 事業主の所得:500万円 – 200万円 = 300万円
  • 所得税率:10%(所得が下がったため税率も低下)
  • 住民税率:10%

事業主の税額:約60万円(300万円×20%)
妻の税額:給与所得控除+基礎控除で課税所得が少額になるため、ほぼゼロ〜数万円程度

結果:世帯全体で約90万円の節税効果!


金額設定の考え方

  • 実際の労働時間・内容に見合った金額で設定する
    例)事務作業が週5日で1日6時間なら、時給×時間数×勤務日数で計算
  • 高すぎる設定は否認リスク大
  • 妻の所得が103万円以内だと配偶者控除の対象になるが、専従者給与はそもそも控除対象外
  • 社会保険加入を避けたい場合は、130万円未満に設定するのも一案

注意点・落とし穴

  1. 届出を忘れると全額否認
  2. 労働実態がないと否認(名義貸しはNG)
  3. 支払方法の証拠が必要(銀行振込推奨)
  4. 途中で金額を変更する場合は再届出が必要

青色専従者給与のメリット

  • 家族の労働に正当な対価を払える
  • 所得分散による節税効果
  • 扶養の範囲を超えても、世帯全体での税負担が減る可能性
  • 家族の将来の年金受給額が増える(社会保険加入の場合)

青色専従者給与のデメリット

  • 専従者控除(最大86万円)が使えなくなる
  • 届出や帳簿管理など事務作業が増える
  • 社会保険料が増える場合がある
  • 他の仕事との掛け持ちは不可

まとめ|青色専従者給与は「経営戦略」

青色専従者給与は、単なる節税策ではなく、

  • 家族の労働を正式に評価し、
  • 所得を分散して手取りを増やす
    ための経営戦略です。

正しく設定すれば、事業の成長と家計の安定を両立できます。
重要なのは、「節税」だけを目的にせず、労働実態に合った金額を設定することです。


最後に

私は、青色専従者給与の導入を単なる制度説明に留めず、実際にどの金額設定が世帯全体で最も得になるのか、税負担や社会保険料も含めたシミュレーションを行い、最適な形での導入をサポートしています。
「制度は知っているけど、どう設定すればいいかわからない」という場合でも、数字を使った根拠あるアドバイスで、無理なく節税と家計改善を実現できます。

ホームに戻る