コラム

【583業種に拡大】セーフティネット保証5号とは?対象業種・認定要件・申請の流れを解説

こんにちは!税理士の長岡です。今回は、「セーフティネット保証5号とは?について!」の内容になります。

原材料費やエネルギーコストの上昇で、資金繰りに不安を感じている経営者の方に、まず確認していただきたい制度があります。セーフティネット保証5号です。中東情勢の影響を踏まえた臨時の業況調査により、令和8年7月1日から指定業種が583業種に拡大されました。前回(4月1日)の指定は520業種でしたので、これまで対象外だった業種が新たに含まれている可能性があります。

「うちは関係ない」と思い込んでいる会社ほど、一度確認していただきたい制度です。この記事では、制度の中身と認定要件、申請の流れまで、認定経営革新等支援機関の視点で整理しました。

セーフティネット保証5号とは

全国的に業況が悪化している業種に属する中小企業者を支援するための、信用保証協会の保証制度です。最大の特徴は、一般保証とは「別枠」で保証が受けられること。通常の保証枠を使い切っている会社でも、資金調達の選択肢を広げられます。

対象 指定業種に属し、売上高等の減少など一定要件を満たす中小企業者
認定 所在地を管轄する市区町村長の認定が必要
保証割合 信用保証協会が借入額の80%を保証
保証限度額 一般保証とは別枠で、普通保証2億円以内・無担保保証8,000万円以内
対象資金 経営安定資金

【重要】今回の指定は令和8年9月30日まで

583業種という指定は、令和8年7月1日から同年9月30日までのものです。指定業種は原則として四半期ごとに見直されるため、次の期間で自社の業種が外れる可能性もあります。該当している今のうちに動くかどうかで、選べる手が変わります。

「もう少し様子を見てから」と考えているうちに指定から外れてしまった、というのは実際によくある話です。制度の性質上、使えるタイミングで動いた会社が有利だと考えてください。

認定要件は3タイプ|自社に当てはまるものを探す

指定業種に属していることに加えて、次の(イ)(ロ)(ハ)のいずれかを満たす必要があります。

(イ)売上高要件

最近3か月間の売上高等が、前年同期比で5%以上減少していること。3類型のなかで最も判定しやすく、利用件数も最多です。創業後1年3か月を経過しておらず前年との比較ができない場合にも、認定を受けられる取扱いがあります。

(ロ)原油高要件

製品等に係る売上原価のうち原油等の仕入額が20%以上を占め、かつその原油等の仕入単価が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていないこと。運送業、製造業、クリーニング業など、燃料・エネルギー比率の高い業種向けの類型です。

(ハ)利益率要件

外的要因による原材料費や人件費等の増加により、最近3か月の月平均売上高営業利益率が前年同期比で20%以上減少していること。売上は落ちていないのに利益だけが削られている会社は、この類型に該当する可能性があります。

見落としが多いのが(ハ)です。「売上は前年並みだから対象外」と自己判断してしまう会社が非常に多いのですが、コスト増局面で効いてくるのはまさにこの利益率です。売上ではなく粗利・営業利益で確認してください。

活用する3つのメリット

1. 融資の可能性が広がる

一般保証とは別枠で利用できるため、通常の保証枠とは別に保証を受けられます。資金調達の選択肢そのものが増えます。

2. 金融機関への説明・相談がしやすくなる

信用保証協会が借入額の80%を保証するため、金融機関も融資を検討しやすくなります。売上減少やコスト増の状況を整理しておけば、相談時の説明もスムーズです。

3. 危機を乗り越える「手元キャッシュ」を確保できる

売上がさらに悪化する前に資金を確保しておくことで、設備投資・販促・人材確保といった攻めの選択肢を残せます。資金が尽きてから動くと、守りの手しか打てなくなります。

ここに注意|活用前の4つのチェックポイント

「自社が指定業種かどうか」の確認が必須

判定は日本標準産業分類の細分類ベースで行われます。自社の事業がどの細分類に該当するかを確認したうえで、現在の指定業種リストに含まれているかを見てください。指定業種名に「〜に限る」「〜を除く」といった条件が付く場合もあるため、業種名がざっくり一致しているだけでは判断できません。

市区町村長の「認定」が必要

制度を利用するには、所在地を管轄する市区町村へ申請し、認定書を取得する必要があります。認定後、希望する金融機関または信用保証協会に認定書を持参して、保証付き融資を申し込みます。認定書には有効期限がありますので、取得後は速やかに金融機関へ進んでください。

認定を受けても、必ず融資されるわけではない

市区町村の認定はあくまで「制度の対象である」という確認です。その後に金融機関や信用保証協会による審査があり、希望どおりの融資を受けられない場合もあります。認定=融資決定ではない点は、はっきり認識しておいてください。

兼業している場合は判定が複雑になる

指定業種と非指定業種の両方を営んでいる場合、指定業種の売上が事業全体に占める割合や、事業全体・指定業種それぞれの減少率など、判定が複雑になります。該当しそうな場合は、市区町村の窓口に事前相談することをおすすめします。

申請の流れ

  1. 自社の業種を確認:日本標準産業分類の細分類を特定し、指定業種リストと照合
  2. 認定要件の判定:(イ)(ロ)(ハ)のどれで申請するかを決め、必要な数字を集計
  3. 市区町村へ認定申請:申請書に、月別の売上高がわかる試算表や売上台帳などを添付
  4. 認定書を取得:認定書を持参し、金融機関または信用保証協会へ
  5. 保証付き融資の申込・審査:資金使途と返済計画を説明

月次の数字が出ていれば、話は早い

この制度で実務上いちばんネックになるのは、「最近3か月の売上高」や「月平均の営業利益率」がすぐに出てこないことです。認定申請には月別の数字がわかる試算表等の添付が求められますが、記帳が数か月遅れている会社では、そこから作業が始まってしまいます。

逆に、月次決算が回っている会社であれば、要件判定も申請書の作成も短時間で済みます。制度を使えるかどうかは、日頃の経理体制で決まる——資金繰り支援の現場で、いつも実感するところです。

「モニタリング強化型特別保証」との使い分け

令和8年3月に始まった「モニタリング強化型特別保証」と混同されることがありますが、性格が違います。

  • セーフティネット保証5号:業況悪化への対処。指定業種+要件該当が前提で、別枠80%保証
  • モニタリング強化型特別保証:借入後の予防。月次モニタリングを条件に保証料が優遇される

「今まさに厳しい」なら5号、「今のうちに体制を整えたい」ならモニタリング強化型、という整理が分かりやすいと思います。両方の可能性を並べて検討するのが理想です。

認定経営革新等支援機関として、当事務所がお手伝いできること

  • 指定業種該当性の確認と、(イ)(ロ)(ハ)どの類型で申請すべきかの判定
  • 認定申請に必要な試算表・売上集計資料の作成
  • 金融機関へ説明するための資金繰り表・返済計画の作成
  • 他の資金繰り支援制度・補助金との組み合わせのご提案

よくあるご質問

Q. 売上は減っていませんが、対象になりますか?

A. (ハ)の利益率要件に該当する可能性があります。最近3か月の月平均売上高営業利益率を前年同期と比べてみてください。

Q. 個人事業主でも使えますか?

A. 中小企業者が対象ですので、要件を満たせば個人事業主も利用できます。

Q. 借りたお金は何に使えますか?

A. 経営安定資金が対象です。具体的な資金使途については金融機関にご確認ください。

まとめ|まずは「自社が該当するか」の確認から

セーフティネット保証5号は、業況悪化の影響を受ける中小企業の資金繰りを支える制度です。ただし、指定業種の確認と市区町村の認定手続きという2つのハードルがあり、そこに時間がかかります。今回の指定期間は9月30日まで。動くなら早めがおすすめです。

「うちの業種は対象なのか」「どの類型で申請できそうか」——この入口の判定だけでもお役に立てます。直近3か月の数字をご用意のうえ、お気軽にご相談ください。

資金繰り・保証制度のご相談はお気軽に

長岡会計事務所(兵庫県芦屋市)/認定経営革新等支援機関
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※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。指定業種は原則として四半期ごとに見直され、認定申請の様式・添付書類は市区町村によって異なります。実際のご利用にあたっては、中小企業庁の最新の指定業種一覧および所在地の市区町村・信用保証協会にご確認ください。

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