節税=得とは限らない!
キャッシュが減る節税に要注意|本当に“経営に効く”節税とは?
はじめに|節税のはずが、資金繰り悪化?
「節税になりますよ!」
「今のうちにこれに入っておけば、利益圧縮できます!」
「設備買って、減価償却を増やしましょう!」
こうした“節税提案”を受けて、なんとなく得した気になっていませんか?
でも、ちょっと待ってください。
その節税、実は「キャッシュが出ていく節税」ではないですか?
節税によって利益を圧縮しても、現預金が減ってしまえば、会社の体力は弱まります。
本記事では、キャッシュを伴う節税の実態と、経営にとって本当に意味ある節税の考え方をお伝えします。
節税の種類には大きく分けて2つある
1. キャッシュアウト型節税(=お金が出ていく)
- 生命保険の加入(ほぼありませんが。)
- 高額な備品購入
- 前払費用の計上(例:1年分の家賃を前払い)
- 広告費のドカ使い
- 経営セーフティ共済(倒産防止共済)の掛金支払い
👉「お金を使えば節税になる」は典型例。
しかし、キャッシュフロー的にはマイナスです。
2. キャッシュアウトを伴わない節税(=帳簿上だけの調整)
- 減価償却費の活用
- 繰越欠損金の活用
- 役員報酬の適正調整
- 青色申告特別控除(個人)
- 退職給与引当金(制度があれば)
👉 現金を出さずに帳簿上の利益を減らせるため、健全な節税。
具体例で比較してみよう|保険による節税
ケース1:法人で外貨建て生命保険に300万円支払って、全額損金処理できた(過去の話です。)
- 節税額:約90万円(税率30%として)
- でも…キャッシュは300万円減少
- 解約返戻金が戻るのは10年後(しかも課税対象)
👉 本当に得なのか?短期的には資金繰りが苦しくなる可能性大。
よくある誤解:「節税=現金が残る」はウソ!
経営者の中には「節税したんだから、得したはず」と思っている人も多いですが、
実態は以下のような構造です:
節税 = 税金は減ったが、現金も減った
例えば100万円の備品を買って税金が30万円減ったとしても、
70万円の現金は戻ってこないのです。
キャッシュを失って得られる“節税”は、本当に必要か?
節税と称してお金を使うと、こんなリスクが待っています:
- ✅ 資金繰りが悪化して、銀行融資が必要に
- ✅ 経費が増えて利益が出ず、金融機関評価が下がる
- ✅ 返戻金や回収不能で、結局損をする
👉 一時的な節税のために、将来の経営リスクを抱えるのは本末転倒です。
では、どんな節税が「経営に効く」のか?
✅ 売上に繋がる投資型節税
- 優秀な人材採用(人件費)
- 生産性を上げる設備投資
- 長期的な収益を生む広告やマーケティング
👉 節税しつつ、売上も伸ばせる“攻めの支出”はOK!
✅ キャッシュを確保する「見送る勇気」も経営力
- 目先の節税に飛びつかず、来期に利益を繰り越す
- 無理に支出せず、納税を選ぶことでキャッシュを確保する
👉 節税より“手元資金”の方がよほど重要!
経営者にとって大切なのは「節税」より「資金繰り力」
節税は「税金が減るからお得」ではなく、
“経営が健全になるかどうか”で判断すべきです。
- 節税=会社の未来にプラスか?
- 節税=キャッシュを減らすだけになってないか?
この問いを常に持つことが、経営者としての視座です。
まとめ|節税の本当の意味を考えよう
- ✅ キャッシュが減る節税は慎重に見極めるべし
- ✅ 「支出ありき」の節税は、財務を弱体化させる
- ✅ 本当に必要なのは、税金より“現預金”の確保
- ✅ 攻めの節税(投資型)と守りの節税(キャッシュ確保)を使い分ける
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