従業員
【完全ガイド】配偶者はいくらまで働いても大丈夫?
〜収入の壁とメリット・デメリットを徹底解説〜
はじめに|「いくらまで働いていい?」が家計の大問題
パートやアルバイトで働く配偶者を持つ家庭にとって、「どこまで働くか」 は切実なテーマ。
- 扶養のままでいたい?
- 社会保険に入る?
- 税金はどのくらい?
これらは収入金額によって大きく変わります。
今回は、収入の「壁」を一つずつ整理し、どのラインで何が起きるのかを経営者・家庭両方の目線で解説します。
100万円の壁|住民税がかかり始める
✅ 何が起きる?
- 住民税の非課税ライン(地域によっては95万円〜100万円程度)を超えると、住民税が発生します。
✅ メリット
- 特にメリットはないが、パート収入が少し増える
✅ デメリット
- 住民税(年数千円〜数万円)がかかる
- 「扶養のままでも税金ゼロ」という状態が終わる
103万円の壁|所得税がかかり、配偶者控除の対象外に
✅ 何が起きる?
- 年収103万円を超えると、所得税がかかる(給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円がライン)
- 配偶者控除(最大38万円)が使えなくなるが、配偶者特別控除の対象にはなる
✅ メリット
- 稼ぐ額が増え、世帯収入がアップ
✅ デメリット
- 配偶者本人に所得税がかかる(年収110万円なら数千円程度)
- 世帯主の税金も、少しずつ上がり始める
106万円の壁|社会保険加入義務が発生(条件付き)
✅ 何が起きる?
- パート先の会社が従業員51人以上(社保適用企業)かつ週20時間以上働くと、106万円を超えた時点で 社会保険に強制加入(厚生年金・健康保険)。
✅ メリット
- 厚生年金に加入 → 将来もらえる年金が増える
- 健康保険の本人資格で医療保障が受けられる
✅ デメリット
- 本人負担の社会保険料(年15〜20万円程度)が発生
- その分、手取りが一気に減る
130万円の壁|社会保険の扶養から外れる
✅ 何が起きる?
- 130万円を超えると、勤務先の規模に関係なく、配偶者の扶養から外れる(国のルール)。
✅ メリット
- 厚生年金に加入できる(老後資金が増える)
✅ デメリット
- 夫(妻)の扶養から外れ、自分で保険料と年金を払う必要がある
- 手取りが大きく減少(特にパートタイマーは影響大)
150万円の壁|配偶者特別控除の減額スタート
✅ 何が起きる?
- 年収150万円を超えると、配偶者特別控除(最大38万円)が減額される
✅ メリット
- 150万円以上働けば、収入はもちろん増える
- 夫(妻)の税額増加は少しずつで、まだ働き損ではない
✅ デメリット
- 世帯主の税金が少しずつ増える
201万円を超えると?
→ 配偶者特別控除の対象外に
- 年収201万円を超えると、世帯主の税控除はゼロ。
- ここまで来ると「扶養の枠」ではなく、本人も自立した社会保険・納税者としての立ち位置に。
✅ 「壁」を越えると手取りが減る?その理由
- 税金(所得税・住民税)が増える
- 社会保険料が発生(106万円・130万円のライン)
- 世帯主の控除が減る(103万円・150万円・201万円)
👉 つまり、「100万〜150万」のゾーンは、働くほど手取りが増えにくい“働き損ゾーン”になりやすいのです。
✅ じゃあどうすればいいの?
- 103万円以内で抑える(税金ゼロ狙い)
- 130万円を意識して調整する(扶養を維持)
- 150万円・201万円を超えて“フルタイム化”を目指す
👉 中途半端に働くと「働き損」になるが、しっかり稼げばむしろ得というケースも。
経営者ができること|社員への「アナウンス」が大事
- 従業員本人も配偶者も、税金や扶養のラインを正確に理解していないことが多い
- 年末調整や給与明細だけでは伝わらない
✅ アナウンスすべき内容
- 「103万」「106万」「130万」の壁の意味
- 収入が超えると起きること(扶養手当カット・社会保険加入)
- 家計全体で見て、どこまで働くのが得なのか
👉 こうした案内をする会社は、社員から信頼され、離職率も低い
まとめ|「壁」を知れば、家計も会社も賢くなる
- ✅ 100万・103万・106万・130万・150万・201万 の6つの壁を理解する
- ✅ 配偶者控除・特別控除・扶養手当・社会保険の全体像を押さえる
- ✅ 経営者が社員へ正しく周知することが、働き方の安心感につながる
ご相談ください|扶養ラインの解説資料・周知方法もサポート
- 年末調整時の説明資料作成
- 社内研修や掲示用の「扶養の壁」早見表
- 従業員と家族が納得できる「働き方設計」の相談
正しい知識を持つことが、税金も家計も会社も守ります。
ホームに戻る芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。