税金

自宅兼事務所で仕事をしている人必見!使用しているのだから、経費計上して賢く節税!!

家賃・光熱費を経費にして賢く節税する方法


はじめに

個人事業主や小規模法人の経営者の中には、自宅を事務所として利用している方が多くいます。
「自宅の一部を仕事で使っているのだから、家賃や光熱費の一部を経費に落とせるのでは?」
そう考えるのは自然なことです。

実際、税法上も 合理的に按分すれば経費計上が可能 です。
しかし、100%を経費にしてしまうと税務署から指摘を受ける可能性があり、注意が必要です。

この記事では、

  • 自宅兼事務所で経費計上できる費用と範囲
  • 按分の計算方法(具体例付き)
  • なぜ100%経費計上が認められないのか
  • 個人事業主と法人での扱いの違い

についてわかりやすく解説します。


自宅兼事務所で経費にできるもの

代表的な経費対象

  1. 家賃(賃貸の場合)
    → 仕事で使用している面積比に応じて按分
  2. 光熱費(水道・電気・ガス)
    → 使用割合に応じて按分
  3. 通信費(インターネット、電話)
    → 事業利用分を算定
  4. 固定資産税や火災保険料(持ち家の場合)
    → 面積比で按分可能

経費計上の計算方法(按分方法)

方法① 面積比による按分

自宅の床面積のうち、事業で使用している割合で計算する方法です。
例:

  • 自宅全体:80㎡
  • 仕事で使用:20㎡(書斎や事務スペース)
  • 按分率:20 ÷ 80 = 25%

→ 家賃や固定資産税の25%を経費にできる。

方法② 使用時間比による按分

リビングなどを兼用して仕事をしている場合は「使用時間」で按分します。
例:

  • リビング:20㎡
  • 1日のうち仕事利用:8時間(1/3程度)
  • 按分率:20㎡ ÷ 80㎡ × 1/3 = 8.3%

方法③ 両者を組み合わせる

面積比と使用時間比を掛け合わせて算出する方法もあります。
税務署は「合理的であれば認める」スタンスなので、根拠を持って計算することが重要です。


なぜ100%経費計上はダメなのか?

理由① 私生活との混在

自宅兼事務所は、必ず生活部分と事業部分が混在しています。
「水道光熱費の全額を仕事に使っている」
「家賃をすべて事務所利用している」
というのは現実的にあり得ません。

理由② 税務署からの否認リスク

100%計上すると「私生活費を経費に入れている」と見なされ、税務調査で否認され追徴課税を受けるリスクが高まります。

理由③ 将来の売却時に影響

持ち家を事業用100%として扱うと、売却時に「事業用資産」として課税対象が広がり、逆に不利になる場合もあります。

👉 合理的な範囲で按分することが節税の鉄則です。


個人事業主と法人での違い

個人事業主の場合

  • 家賃や光熱費を「必要経費」として計上できる。
  • 確定申告の際に「家事按分」として処理。
  • 税務署は「按分率の根拠」を重視するため、計算式や証拠を残しておくことが大事。

法人の場合

  • 自宅を「社宅」として会社が借り上げ、社長に貸し付ける形にできる。
  • 会社が負担した家賃は「福利厚生費」として損金算入可能。
  • 社長は「給与課税される最低限の自己負担」を払えばよい(例:賃貸料相当額の50%程度)。

👉 法人化している場合、社宅制度を活用した方が税務的に有利になるケースが多いです。


事例で見る経費計上のシミュレーション

事例① 個人事業主・賃貸住まい

  • 家賃:10万円
  • 自宅80㎡、仕事スペース20㎡
  • 按分率:25%

→ 月2万5,000円、年間30万円を経費にできる。

事例② 個人事業主・持ち家(持分100%)

  • 固定資産税:12万円
  • 延床100㎡、事業利用30㎡
  • 按分率:30%

→ 年3万6,000円を経費にできる。

事例③ 法人化している場合(社宅制度)

  • 家賃:12万円
  • 会社が契約して社宅扱い → 全額損金
  • 社長は国税庁基準に基づく自己負担(例:6万円程度)を支払えばOK

→ 会社経費にできる上、社長個人の所得税・社会保険料負担を抑えられる。


まとめ

  • 自宅兼事務所の家賃・光熱費は合理的に按分すれば経費計上可能。
  • 按分方法は「面積比」「使用時間比」「組み合わせ」が基本。
  • 100%経費は認められず、税務署から否認リスク大。
  • 個人事業主は家事按分、法人は社宅制度を活用するのが一般的。

最後に

私は税理士として、多くの個人事業主・中小企業の経営者に 「どの範囲で経費にできるか」 を一緒に整理し、税務リスクを避けつつ最大限の節税ができる方法を提案してきました。
「自宅兼事務所の経費計上はどこまで可能か?」は非常に相談が多いテーマです。

グレーゾーンに踏み込むのではなく、根拠を持って経費計上することが、結果的に経営の安心と節税効果につながります。
もし迷っている方は、ぜひ専門家のアドバイスを受けてみてください。

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