どんぶり勘定経営から脱却!決算書で絶対に見るべき重要指標を徹底解説
決算書で本当に大事な指標とは?
〜 どんぶり勘定から脱却し、数字で会社を動かす経営へ 〜
はじめに
「うちは黒字だから大丈夫。」
「お金も回ってるし、なんとなく順調だ。」
このように“感覚で経営”している社長は少なくありません。
しかし、銀行や取引先はあなたの“感覚”ではなく、“数字”を見ています。
もし決算書をきちんと読み解けなければ、
気づかないうちに資金繰りが悪化し、黒字倒産のリスクさえあります。
本記事では、経営者が最低限押さえておくべき決算書の重要指標を、
どんぶり勘定の社長にもわかりやすく解説します。
なぜ決算書が読めないと危険なのか?
決算書は「会社の健康診断書」です。
黒字でもキャッシュが減っている会社は、数字の構造が悪化しています。
銀行は融資判断の際、
- 売上だけでなく利益構造
- 借入金の返済能力
- 将来の資金余力
を細かくチェックしています。
つまり、社長が決算書を理解できない=会社の状態を把握できていないということ。
数字を知らない経営は、ハンドルのない車を走らせるようなものです。
決算書の三大書類とは
決算書は大きく次の3つの書類で構成されています。
| 書類名 | 内容 | 経営者が見るべきポイント |
|---|---|---|
| 損益計算書(P/L) | 1年間の「収益と費用」を表す | 利益の構造・利益率 |
| 貸借対照表(B/S) | 会社の「資産・負債・純資産」を表す | 財務体質・資金バランス |
| キャッシュフロー計算書(C/F) | お金の流れを表す | 資金繰りの健全性 |
損益計算書(P/L)で見るべき3つの指標
① 粗利益率(売上総利益率)
粗利益率とは、売上から仕入や外注などの変動費を差し引いた「売上に対する利益の割合」です。
📘 計算式:
粗利益率 = (売上高 − 売上原価) ÷ 売上高 × 100
例えば売上1,000万円、原価700万円なら粗利は300万円、粗利益率は30%です。
この数字が低い会社は、
「売れば売るほど儲からない」構造になっています。
→ 改善策:仕入の見直し・外注コスト削減・値上げの検討
② 営業利益率
営業利益率は、会社の「本業で稼ぐ力」を表す指標です。
📘 計算式:
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
同業他社より低ければ、販管費(人件費・家賃・広告費)にムダがある可能性大。
黒字なのにキャッシュが増えない会社の多くは、
営業利益率が低く、固定費を圧迫しています。
③ 損益分岐点売上高
会社が赤字にも黒字にもならないラインを示すのが「損益分岐点」です。
📘 計算式(簡易版):
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
損益分岐点がわかると、
「今月はいくら売れば黒字になるか」が明確になります。
経営判断を“勘”ではなく“数字”で行う第一歩です。
貸借対照表(B/S)で見るべき3つの指標
① 自己資本比率
会社の安定性を測る最重要指標です。
📘 計算式:
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100
一般的に30%以上あると健全、
20%を下回ると財務リスクが高いといわれます。
自己資本比率が低い会社は、
「借金で運営している」状態。
一度資金ショックが起こると、返済不能に陥る可能性があります。
② 流動比率
短期的な支払い能力を見る指標です。
📘 計算式:
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
100%を下回ると危険信号。
目安は120~150%以上が理想です。
現金・売掛金などの“すぐに現金化できる資産”で、
短期借入金・買掛金をどれだけカバーできるかを示しています。
③ 借入金依存度
📘 計算式:
借入金依存度 = 有利子負債 ÷ 総資産 × 100
借入が多いとレバレッジが効く一方、
金利上昇や売上減少時に資金繰りが苦しくなります。
銀行はこの数字を見て、
「これ以上貸せる余力があるか」を判断します。
キャッシュフロー計算書(C/F)の重要性
どんなに利益が出ていても、お金がなければ会社は続きません。
キャッシュフローは、実際に動く“現金の流れ”を表します。
| 区分 | 内容 | 意味 |
|---|---|---|
| 営業CF | 本業で稼ぐ力 | プラスが理想 |
| 投資CF | 設備・車両などへの支出 | 成長投資はマイナスOK |
| 財務CF | 借入・返済・配当 | 借入過多は要注意 |
特に営業キャッシュフローがマイナスのままでは、
いずれ資金ショートを起こします。
黒字倒産は、この営業CFの悪化が原因です。
どんぶり勘定から脱却する3つのステップ
ステップ①:月次試算表を確認する習慣をつける
「決算書を年に一度だけ見ている」では遅すぎます。
毎月の試算表で、利益や資金繰りの変化をチェックしましょう。
💡 月次の数字を追うと、決算の“結果”ではなく“流れ”が見えてきます。
ステップ②:数字の意味を理解する
税理士に任せきりにせず、
「なぜこの数字になったのか」を質問しましょう。
- 粗利益率が下がったのは仕入れか?値引きか?
- 借入金返済が重いのは利益率の問題か?
数字の背景を理解することで、経営判断の精度が格段に上がります。
ステップ③:キャッシュフロー表を自社で作る
銀行評価を高める最大のポイントは、
「数字で未来を語れること」。
キャッシュフロー表を作成し、
今後の入出金・返済予定・投資計画を示すことで、
金融機関は「この社長は資金感覚がある」と評価します。
数字を読む社長は、未来を創れる
決算書を「税務署に出すための書類」と思っている間は、
会社は成長しません。
決算書は、経営の舵取りをするための羅針盤です。
利益率を上げ、財務体質を強化し、資金を循環させる。
その積み重ねが、企業の信頼を高め、融資条件を有利にします。
最後に
決算書の数字を理解することは、
「税金を減らす」ためではなく、「会社を強くする」ための第一歩です。
私はこれまで、どんぶり勘定から脱却した経営者を数多く見てきました。
共通しているのは、数字を学ぶことを恐れなかったということ。
決算書を読み解けるようになると、
・経営判断が速くなる
・銀行との関係が良くなる
・社員のモチベーションも上がる
数字を味方につけることで、
会社は確実に未来へ進むことができます。
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芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。