「金融機関は何行と付き合うべきか?売上規模・業種別に見る最適な銀行との付き合い方」
金融機関は何行と付き合うべきか?
~売上規模・業種別に見る最適な銀行との付き合い方~
はじめに
「銀行口座はいくつ持つべきか?」「金融機関とは何行と付き合えばいいのか?」
経営者であれば誰もが一度は考えるテーマです。
金融機関との取引は、単なる「お金の出し入れ」ではなく、会社の信用・資金調達力・成長スピードに直結します。
しかし、業種や売上規模によって最適な付き合い方は大きく変わります。
この記事では、金融機関と何行付き合うべきかを売上規模・業種別に整理し、経営者が「なるほど」と感じるポイントを解説します。
1. 金融機関との付き合い方の基本
メインバンクとサブバンク
- メインバンク:資金調達・決済・日常取引の中心となる金融機関
- サブバンク:緊急時や追加融資のために補完的に付き合う金融機関
1行だけではリスク分散できませんが、多すぎると管理が煩雑になります。
基本は「メイン1行+サブ1~2行」が目安です。
信用を積む
金融機関は「取引実績の長さ・取引量・情報開示」を重視します。
一行と腰を据えて付き合うことで、「この会社を応援したい」と思われやすくなります。
2. 売上規模別の最適な付き合い方
売上1億円未満(創業・小規模事業者)
- メインバンク:信用金庫または地方銀行
- サブバンク:日本政策金融公庫(国民事業部)
創業期・小規模事業者は信用金庫が親身で柔軟な対応をしてくれます。
公庫を併用することで無担保・無保証融資が活用でき、資金調達の幅が広がります。
売上1億~5億円(成長期の中小企業)
- メインバンク:地方銀行または有力信用金庫
- サブバンク:別の地銀・信用金庫+政策公庫中小事業部
成長期は取引額が増え、設備投資・長期資金が必要になります。
複数行と付き合い、メインに実績を積みつつサブで競争原理を働かせるのがポイントです。
売上5億円以上(中堅企業)
- メインバンク:地方銀行またはメガバンク
- サブバンク:地銀・信金・公庫など複数
規模が大きくなると、メガバンクの低金利・多様な金融商品が魅力になります。
ただし、地銀・信金との関係も残しておくことで資金調達の多様性を確保できます。
3. 業種別のポイント
建設業・製造業(資金需要が大きい業種)
- 長期資金・設備資金が必要
- 地銀・政策公庫中小事業部が強い
- メイン+サブで競争原理を働かせ、条件を有利に
飲食業・小売業(小口資金・運転資金重視)
- 信用金庫・国民事業部が親身
- 売上の季節変動に合わせて短期融資を活用
IT・サービス業(無形資産中心)
- 政策公庫の創業融資・ベンチャー支援制度が有効
- 早期にメガバンクや地銀との関係構築を
4. 金融機関に応援される会社になるには
① 情報開示をこまめに
- 決算書・試算表をタイムリーに提出
- 新規事業や設備投資の計画を事前に相談
② 預金・決済取引も増やす
- 「借りるだけ」ではなく「預ける」「決済を通す」ことで金融機関に利益を還元
- 信頼度アップにつながる
③ 担当者・支店長と信頼関係を築く
- 定期的な面談・情報交換
- 感謝の気持ちを伝える
5. 事例で学ぶ金融機関との付き合い方
事例1:創業時に信金+公庫でスタート
A社は創業時に信用金庫をメイン、公庫をサブで活用。
柔軟な対応で初期資金を確保し、成長後も信金が強力なパートナーに。
事例2:成長期に地銀へシフト
B社は売上2億円に成長した段階で地銀をメインに変更。
長期設備資金を低金利で調達でき、拡張スピードが加速。
事例3:大規模化でメガバンク活用
C社は売上10億円超でメガバンクと取引開始。
海外展開・M&Aサポートなど多様なサービスを受けられるように。
6. 何行と付き合うのが理想か?
- 創業期・小規模事業者:メイン1行+公庫+(必要に応じて)サブ1行
- 成長期・中堅企業:メイン1行+サブ2行(競争原理+リスク分散)
- 大規模企業:メインバンク+複数サブバンク+取引先銀行
多すぎる銀行と付き合うと管理コストが増えますが、1行だけだとリスクが高いです。
「メインバンクで信用を積み、サブバンクで選択肢を確保」というバランスが理想です。
7. まとめ
- 金融機関は「メイン1行+サブ1〜2行」が基本
- 売上規模・業種・成長段階によって最適な銀行は変わる
- 創業期は信用金庫・国民事業部、成長期は地銀・中小事業部、大規模展開はメガバンク
- メインバンクに情報提供・預金・決済を集中し、信頼を築く
- サブバンクを活用してリスク分散・条件改善を図る
最後に
私はこれまで多くの経営者の資金調達をサポートしてきましたが、金融機関との付き合い方が資金調達力を大きく左右すると実感しています。
「どこから借りるか」だけでなく「誰に応援してもらうか」を考え、
メインバンク・サブバンクの役割を明確にし、担当者・支店長との信頼関係を築くことが、安定した資金調達と事業拡大への近道です。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。