財務
【利益だけ見ていませんか?】
P/L重視 vs B/S重視|経営の財務評価を左右する“数字の見方”とは?
はじめに|「利益が出ているのに、なぜ資金繰りが苦しい?」
毎月の試算表を見て、「今月も黒字だ。よかった!」と安心していませんか?
確かに、P/L(損益計算書)で利益が出ていれば、経営状況は良さそうに見えます。
しかし──
- 銀行融資の審査では「資産」や「負債」も厳しく見られます
- 黒字でも、現預金がなければ“倒産”のリスクもあります
- 利益は出ているのに資金が足りない…という経営者の声も多数
そうです。経営には「P/L重視」と「B/S重視」の2つの視点が必要なのです。
【前提知識】P/LとB/Sの違いとは?
項目 | 内容 | 見るポイント |
---|---|---|
P/L(損益計算書) | ある期間の収益と費用から利益を算出 | どれだけ儲かったか? |
B/S(貸借対照表) | 決算時点の資産・負債・純資産の残高 | どれだけ蓄えているか?健全か? |
1. P/L重視の経営の特徴と落とし穴
✅ メリット:
- 売上や利益にフォーカスできる
- 損益の把握がしやすい
- 成果主義に向いている
⚠️ デメリット:
- キャッシュフローを見落としやすい
- 粉飾や無理な利益操作が起きやすい
- 蓄積される在庫や売掛金の“重さ”に気づけない
事例:
「営業利益は2,000万円。だけど口座には300万円しかない…」
→ 売掛金が膨らみ、現金化できていない。財務としては不安定。
2. B/S重視の経営の特徴と強さ
✅ メリット:
- 財務体質が良くなる(借入に強い)
- 資産の適正管理がしやすい
- キャッシュフローや運転資金を意識できる
⚠️ デメリット:
- 短期的な利益に目が届きにくい
- P/Lと連携できていないと“数字だけ”の世界に陥る
事例:
「黒字じゃないが、現預金が潤沢で借入も少ない」
→ 銀行からは“堅実経営”と高評価。資金調達にも有利。
3. 金融機関が本当に見ているのはB/S
🔍 銀行が重視する3つのB/S指標
指標 | 意味 | 良い状態 |
---|---|---|
自己資本比率 | 自社資本の割合 | 30%以上 |
流動比率 | 短期資産 ÷ 短期負債 | 150%以上 |
債務償還年数 | 借入を何年で返せるか | 10年未満が理想 |
👉 銀行は「利益」だけでなく「体力」を見ています。
利益が出ていても、返済能力や資産価値が乏しいと評価されません。
4. P/Lで稼ぎ、B/Sで守る!二刀流の経営が最強
✅ 片方に偏ると危険
- P/L偏重:利益はあるのに倒産リスクが高い(黒字倒産)
- B/S偏重:財務は安定でも、収益性が乏しい(守りに入りすぎ)
✅ 経営判断のバランスが重要
戦略 | 指標 | 意図 |
---|---|---|
攻め | 売上高、営業利益 | 市場拡大、成長 |
守り | 現預金残高、自己資本比率 | 継続性、信用力 |
5. どちらが財務評価に有利か?【結論】
👉 B/S重視の経営が最終的に評価される
理由は以下のとおり:
- 融資の可否は「貸せる体力があるか?」=B/Sで判断される
- 取引先も「支払い能力」=B/Sの資産・負債構造で評価する
- 倒産企業の多くが「黒字倒産」=P/Lのみに依存した結果
つまり、利益を出しつつ、財務体質を良くすることが最善です。
まとめ|「P/Lの利益」より「B/Sの健全性」を意識せよ!
- ✅ P/Lは短期の成果、B/Sは長期の安定性
- ✅ 銀行や外部評価はB/Sを最重視する
- ✅ 真の強い会社は「両方を見ている」
ご相談ください|“数字の見方”を変えれば、経営は変わる!
- 「黒字だけど、資金繰りがきつい…」
- 「税理士からP/Lしか見せられない…」
- 「金融機関の評価を良くしたい!」
そんなお悩みがあれば、財務のプロと一緒に“数字の見える経営”を始めましょう!
B/Sを味方につけた強い経営を支援します。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。