デジタルマーケティング業の経営者が注意すべきこと|失敗事例と成功原則を徹底解説
デジタルマーケティング業の経営者が「絶対に注意すべきこと」
〜見えないリスクと勝ち続ける企業が実践している原則〜
【はじめに】デジタルマーケティング業は“儲かるようで儲からない”構造を持つ
デジタルマーケティング業(広告運用、SNS運用、LP制作、SEO、コンテンツ制作、Webコンサルなど)は、
一見すると利益率が高いビジネスに見えます。
しかし実態は、
- 契約の浮き沈みが激しい
- 顧客が一気に離れることがある
- 人件費が積み重なる
- 高スキルの人材流動が激しい
- 業界トレンドが高速で変化
- 価格競争が激しい
このように、“安定しにくいビジネス”でもあります。
成功しているように見えた会社が、
急に失速したり廃業したりする例は少なくありません。
では、どこに注意すれば「永続する会社」になれるのか?
この記事では、
デジタルマーケティング業の経営者が陥りやすい落とし穴と、
長期的に利益を残すための視点を徹底解説します。
[第1章]デジタルマーケティング業が抱える“構造的リスク”を理解せよ
最初に理解すべきは、この業界特有のリスクです。
これを知らずに経営すると、
「売上はあるのに現金がない」「人件費だけが重い」
という状態に陥ります。
■ リスク①:契約の継続率が読みにくい
デジタルマーケは成果が数字として可視化されるため、
顧客が結果を理由に解約しやすい業界です。
- 広告成果が落ちた
- 社長がマーケの必要性を理解していない
- 内製化したい
- 突然予算削減
こうした理由で、
安定契約が急に解約されることが日常的に起こります。
■ リスク②:成果が外部要因に左右されやすい
特に広告運用・SEO・SNSは、
- Googleアルゴリズム変更
- Meta広告の仕様変更
- SNSの流行
- 広告費の高騰
- 訴求規制
これら外部要因で成果が大きく変動します。
成果を完全にコントロールできるビジネスではありません。
■ リスク③:人材流出リスクが高い(独立しやすい)
優秀な人が独立しやすい業界です。
「広告運用できる人」「SNSが強い人」「デザイナー」「動画編集者」
これらはすべて個人で活動できるため、
育てても辞めやすい。
■ リスク④:スキルの陳腐化スピードが異常に速い
AI・広告・SEOは数ヶ月で常識が変わります。
知識更新を怠れば、
顧客に価値提供できなくなり、契約が飛びます。
■ リスク⑤:利益率が高いようで意外と低い
広告運用者やデザイナーを雇うと人件費が重くなり、
- 採用コスト
- 教育コスト
- 外注費
- ソフト費
- 工数のズレ
これらが積み重なり、利益が薄くなります。
■ リスク⑥:営業力が弱い会社は一瞬で衰退する
紹介だけで成長してきた会社ほど危険です。
マーケ会社なのに、自社集客ができないことが多い。
[第2章]デジタルマーケティング業が“潰れる会社”の共通点
成功する会社より、失敗する会社のパターンを理解する方がむしろ重要です。
◆ 共通点①:顧客依存が高すぎる
1社に依存すると、その顧客が解約しただけで倒れる危険があります。
◆ 共通点②:契約更新を“営業”だと思っていない
「成果だけで更新される」と勘違いしている会社が非常に多い。
更新には営業力が必須です。
◆ 共通点③:見える化の仕組みが弱い
成果の説明が弱かったり、
改善理由を言語化できなかったり。
顧客は「今どれくらい成果が出ているか」が分からないと不安になる。
◆ 共通点④:人材の管理が弱い
技術だけで採用し、
マネジメント体制がない会社は崩壊しやすい。
◆ 共通点⑤:労務トラブルが多い
クリエイティブ業界に多いのが残業問題。
◆ 共通点⑥:財務管理をしていない
マーケ会社の倒産理由の8割は「資金繰り」。
月額課金モデルの落とし穴は次の通りです。
- 売上が固定のように見える
- でも外注費が積み重なる
- 解約が突然来る
- 掛け払いが多い
- 税金で資金繰りが詰まる
“利益率が高く見える業界ほど資金繰りが危険”
これはマーケ業の鉄則です。
[第3章]デジタルマーケ業で長期成長する会社が必ず守っている7つの原則
ここからは“成功する側”の視点です。
原則1:顧客との距離感を「適切」に保つ
デジタルマーケ業は顧客との距離感が最重要。
● 近すぎると…
- 依存される
- 相談が無限に増える
- 稼働が増えるのに売上は増えない
- トラブルになりやすい
● 遠すぎると…
- 解約される
- 信頼を失う
- 成果の説明が弱い
● 最適解は「成果×コミュニケーション」を両立
「結果報告+提案」を毎月届けること。
原則2:成果が出ない理由を“論理的に説明できる会社”は強い
マーケ会社の真価は、
成果が出ない時にわかる。
● 説明が弱い会社は解約される
- 広告の成果落ち
- SEOの順位下落
- リーチ数の減少
これらは珍しくない。
顧客が知りたいのは
「なぜそうなったのか?」
「次にどう改善するのか?」
● データで説明できる会社が勝つ
結果に対する“仮説力”が信頼を生む。
原則3:成果より“進捗”を見せる
意外かもしれませんが、
顧客が最も安心するのは「進捗報告」です。
✔ 「何をしているか分からない」
→ 解約理由No.1
だから、
- 今月の改善
- 来月の予定
- 主要KPI
- 仮説
- 改善根拠
これらを“毎月のレポート”に必ず反映させるべきです。
原則4:人材を“育てないと利益は残らない”
外注頼みのマーケ会社は利益が薄くなりがち。
● 人材育成のポイント
- 分析力
- コピーライティング
- デザイン基礎
- LP改善
- 広告運用
- SNS運用
- GA4知識
マーケ業は「職人の集合体」なので、
人を育てる習慣がないと会社は伸びない。
原則5:仕組み化しないと社長が燃え尽きる
デジタルマーケ会社は次の業務が非常に多い。
- 戦略立案
- 運用
- 分析
- 改善
- クリエイティブ制作
- 顧客対応
- ミーティング
これを社長1人で抱えると確実に破綻する。
● 仕組み化のポイント
- 標準化(テンプレ化)
- 自動化(AI・ツール)
- 分業(役割明確化)
- 外注管理ルール
原則6:契約構造が弱い会社はトラブルが多い
マーケ業で最も多いトラブルは契約書トラブル。
● 要注意ポイント
- 契約期間の明確化
- 中途解約の条件
- 作業範囲の定義
- 著作権の扱い
- 広告費の返金不可条項
- レポート提出の頻度
● 事例:LP制作を無限修正される
修正回数を明確にしていなかった結果、
延々と追加作業になり赤字に。
契約書は“会社を守る盾”です。
原則7:財務感覚がないマーケ会社は必ず潰れる
マーケ会社の財務は不安定です。
● 課題
- 売上変動が激しい
- 継続率に依存
- 外注費がかさむ
- 人件費が重い
- 粗利管理が難しい
● 対策
- 月次決算の徹底
- 粗利率の把握
- 事業別の収支管理
- 粗利で見た採算管理
- キャッシュフロー予測
● 最重要
固定費を増やしすぎないこと。
[第4章]デジタルマーケ業の経営者が“明日から実践すべき”10の具体施策
施策① 月次レポートを改善する
「報告」ではなく
「改善提案+ロジック」で作る。
施策② 契約書を強化する
法律家のチェックを入れ、トラブルを未然に防ぐ。
施策③ 顧客との接点を増やす
月1のミーティングは必須。
メールだけの関係は解約されやすい。
施策④ 外注依存を避ける
利益が流出し、品質も安定しない。
施策⑤ KPIを明確化する
「認知・興味・比較・購入」のどこを改善するのか?
顧客が理解できる形で設計する。
施策⑥ 内製化支援を提供する
マーケ会社の新しい価値は
「社内にマーケ担当を育てること」。
施策⑦ 価格を上げる
実力があるのに低単価で消耗する会社が多い。
施策⑥ AIを必ず活用する
ChatGPT・自動改善ツール・広告最適化AIを使わないと競争に負ける。
施策⑧ リスクヘッジとして複数ラインを持つ
広告運用だけの会社は危険。
SNS・SEO・LP改善など複数持つべき。
施策⑨ 固定費を下げる
人件費・オフィス費に注意。
「儲かっている時に固定費を増やす」のが倒産原因。
施策⑩ 資金繰り表を作る
デジタルマーケ業こそ、キャッシュフロー管理が必須。
[第5章]まとめ:デジタルマーケ業は“技術力 × 経営力”が両方必要な業界
デジタルマーケティング業は、
スキルだけで勝てる業界ではありません。
■ 本質
✔ 技術だけで勝てる会社 → 一時的に伸びる
✔ 経営が強い会社 → 永続する
デジタルマーケ業の成功は、
- 財務
- 契約
- 仕組み化
- 人材育成
- AI活用
- 顧客との距離感
これらの総合力で決まります。
“マーケスキルだけの会社”が淘汰される時代だからこそ、
経営者として、今日から強い組織づくりを始めるべきです。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。