【2026年までが勝負】事業承継税制を使って“税負担ゼロ”で事業を引き継ぐための完全ガイド
— 特例承継計画の提出期限延長にどう備えるか —

こんにちは!税理士の長岡です。今回は、「事業承継税制について!」についての内容になります。最後までお読みいただけると幸いです。中小企業にとって、事業承継は会社の未来を左右する最重要テーマです。
しかし、後継者が決まっていても「手続き」や「税負担」の問題に不安を抱え、
準備が進まないまま時間だけが過ぎてしまうケースが多くあります。
2026年まで利用できる 事業承継税制(特例制度) は、
その不安を一気に解消する強力な制度です。
この制度を活用すれば、
自社株にかかる相続税・贈与税の負担が“実質ゼロ”になる可能性があります。
ただし、このメリットを受けるためには
「特例承継計画」を期限までに提出しておくことが絶対条件。
本記事では、事業承継税制の仕組み、メリット、手続きの流れ、
そして経営者が今すぐ取り組むべきポイントを徹底解説します。
■ 1. 事業承継税制とは
税金の負担を最小限にし、安心して会社を引き継ぐための制度
事業承継税制は、
中小企業が後継者へ会社を引き継ぐ際に発生する 相続税・贈与税の納税を猶予または免除する制度 です。
自社株の評価額はしばしば高額になり、
後継者が納税資金を用意できず、事業承継そのものが困難になるケースもあります。
この制度では、負担が重い“株式にかかる税金”について:
- 納税が猶予される
- 一定要件を満たすと 猶予税額が全額免除される
という非常に大きな恩恵があります。
■ 2. 特例承継計画の提出が必須
計画を出さなければ制度の適用は受けられない
事業承継税制の特例措置を利用するためには、
まず 「特例承継計画」を都道府県へ提出 する必要があります。
▼ 特例承継計画とは
- 事業承継の進め方
- 後継者の選定
- 引継ぎ後5年間の事業計画
- 会社の現状分析
などをまとめた計画書で、
認定支援機関(税理士・専門家)の指導・助言を受けて作成します。
この計画書を出すことで、
特例制度の“入口”に立つことができます。
■ 3. 提出期限が延長へ
2026年3月31日まで準備できるチャンス
特例承継計画の提出期限は 令和8年(2026年)3月31日 までとされています。
さらに現在、制度延長の要望が上がっており、
動向が注目されています。
とはいえ、延長されるか確実ではないため、
期限までの提出は“今が勝負”です。
■ 4. 事業承継税制のメリット
1. 税負担が大幅に軽減される
相続税・贈与税の納税が猶予され、
最終的に免除となる可能性があります。
株価が高い会社ほどメリットは絶大です。
2. 資金繰りに余裕が生まれる
莫大な税金を支払う必要がなくなるため、
事業資金を確保しやすくなります。
- 設備投資
- 運転資金
- 人材育成
など、未来への投資に資金を回すことができます。
3. 安心して事業を引き継げる
後継者にとって最大の障壁である “税負担” が解消されることで、
引継ぎに対する心理的負担も軽減します。
■ 5. 制度を利用するための手続きの流れ
PDFの図(【2025年12月号】NewsLetter(事業承継税制))にもあるプロセスを、
よりわかりやすい言葉で解説します。
▼ STEP1:特例承継計画の提出(2026年3月31日まで)
まず計画書を作成し、専門家のサポートを受けながら都道府県へ提出します。
▼ STEP2:株式の承継(贈与または相続)
対象期間は 2027年12月31日まで とされています。
- 生前贈与
- 相続
いずれのパターンでも適用可能です。
▼ STEP3:認定申請(申告期限の2か月前まで)
都道府県知事の認定を受ける必要があります。
▼ STEP4:税務署への申告
認定書を添付して、税務署へ申告します。
▼ STEP5:5年間の年次報告
承継後5年間は、都道府県と税務署に毎年報告が必要です。
▼ STEP6:6年目以降は3年に1度報告
長期にわたり、事業継続が求められます。
■ 6. 制度を活用すべき企業の特徴
以下に該当する場合、事業承継税制の活用が非常に効果的です。
● 後継者は決まっているが、進め方がわからない
計画を作ることで、承継の段取りが明確になります。
● 自社株評価が高く、税負担が心配
納税猶予により、後継者の経済的負担を大幅に抑えられます。
● 承継の資金対策を考えている
本業の資金を使わずに事業を引き継ぐことが可能になります。
● 社内に詳しい担当者がおらず、計画だけ先に提出したい
専門家の支援を受けながら計画を作成するため、
内部に専門知識がなくても準備できます。
■ 7. 事業承継において重要なポイント
① 早めの準備が成功のカギ
事業承継は、一気に進むものではありません。
準備期間が長ければ長いほど、スムーズに進行できます。
② 専門家との連携が不可欠
税務、法務、財務、労務が絡むため、
専門知識が必要です。
認定支援機関と連携することで、
制度の活用だけでなく、計画そのものの質が大きく向上します。
③ 現状の見える化
会社の財務状況、組織体制、強み・弱み、
課題などを整理しておくと、計画作成が円滑に進みます。
④ 後継者の育成
承継は“権利の移転”よりも
“能力の承継”の方が時間がかかります。
- 経営判断力
- 財務知識
- 人材マネジメント
- 取引先との関係構築
これらを段階的に引継いでいくことが重要です。
■ まとめ:2026年までに“動いた企業だけ”が得をする
事業承継税制は、中小企業にとってこれ以上ない優遇制度です。
- 税負担を大幅に軽減
- 資金繰りに余裕
- 後継者が安心して引継ぎ
- 未来の投資スピードが上がる
しかし、この制度を使うためには
「特例承継計画」を期限内に提出することが絶対条件。
準備が遅れるほど、承継の選択肢も減り、
税負担も大きくなってしまいます。
今が、未来の会社を守るための最も重要なタイミングです。
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