「土木工事は稼げる」が幻想になる前に——財務分析で築く“潰れない経営”の仕組み
「大型案件を受注したのに資金繰りが厳しい」——土木工事業に潜む落とし穴
- 入札に勝って大規模工事を受注
- 月次の売上は過去最高
- しかし、資金繰りはいつもギリギリ
- 銀行対応や支払いに神経をすり減らす…
こうした現実に心当たりがある方、実はそれ“土木工事業の構造的課題”に原因があります。
その解決策こそが、財務分析です。
土木工事業が抱える経営上の“数字の落とし穴”
1. 大型工事偏重による利益率の低下
公共工事や大規模造成工事は受注単価が大きい分、粗利率が低くなる傾向があります。
「売上はあるのに、利益が残らない」の典型です。
2. 入金サイトが長く、資金繰りが苦しい
公共事業では、工期6ヶ月、入金は“完了後+検査後+翌月末”ということも少なくありません。
一方で外注費・資材費・重機費用は先払い。
結果として、黒字倒産予備軍になるリスクが潜んでいます。
3. 重機維持・人件費の固定コスト化
- 稼働率が読めない重機のローン・修繕費
- 人材不足を補うための常用・外注依存
- 安定的な利益を生みにくい経営体質
財務分析は“数字の見える化”だけじゃない——社長の判断力を強くする武器
財務分析とは、単に「損益計算書を見直すこと」ではありません。
それは、「会社の未来をつくる判断材料を手に入れる」ことです。
土木工事業が財務分析で得られること
- 工事種別ごとの利益構造の理解
- 原価の内訳(材料費・重機費・人件費・外注費)を把握
- キャッシュフローの“ズレ”の見える化
- 粗利率・固定費率から“必要売上”を逆算
「経営の数字がわかるようになる」だけで、経営判断の迷いが激減します。
実例:財務分析によって生まれ変わった土木会社
<事例①>1億の売上に依存→粗利ベースで選別経営へ
年商1億2,000万円だったE社。
財務分析を始めた結果、売上全体のうち45%が粗利10%未満の案件と判明。
“売上額重視”から“利益率重視”に舵を切り、年商1億を下回っても純利益は約3倍に。
<事例②>キャッシュフロー分析で無駄な借入を防止
月末の資金繰りに悩んでいたF社。
案件単位で「入金時期と支出タイミング」を管理する仕組みを導入。
事前に資金の谷を把握できたことで、借入が半減し経費も抑制。
土木工事業に取り入れたい財務分析ステップ5つ
- 工事別・発注元別の粗利分析を行う
- 支払い・入金サイトの一覧表(キャッシュ予測)を作る
- 重機維持費や外注費を“固定費”として再計算
- 粗利ベースで利益の出る案件選定基準を設ける
- 金融機関に“数字で説明できる資料”を定期提出する
これからの土木業は「現場感覚×数字力」の両輪が不可欠
今までは、技術力・実績・人脈で食えてきた土木業界。
しかし今後は、以下の環境変化が避けられません:
- 公共工事の入札単価の低下
- 資材高騰と人手不足
- 借入審査の厳格化
これらに対応するためには、「現場に強く、数字にも強い社長」が求められています。
まとめ:「土木工事は儲からない」を卒業するために
土木業は本来、スケールの大きな利益が得られるビジネスです。
しかし、数字を軽視したままでは、そのポテンシャルは活かせません。
- 損益を“感覚”ではなく“数値”で捉える
- 粗利率・資金繰りを先回りして見る
- 利益が出る案件に集中する仕組みを持つ
これが、潰れない土木会社をつくる最短ルートです。
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当事務所では、土木業に特化した財務分析・資金繰り改善のサポートを行っています。
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芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。