従業員

冠婚葬祭費用も経費計上できる!

~税務上の取り扱いと従業員定着につながる活用法~


はじめに

経営者のみなさまは、取引先や従業員の冠婚葬祭に出席する際の費用をどのように処理していますか?
「冠婚葬祭費用は個人的な支出だから経費にはできないのでは?」と考えている方も多いでしょう。

しかし、実際には 事業関係者に関わる冠婚葬祭費用であれば、交際費として経費計上することが可能 です。
さらに、従業員に対して冠婚葬祭費用を支援する仕組みを整えることで、支出も福利厚生費として経費計上でき、離職率低下やリファラル採用(社員紹介による採用) にもつながり、会社全体の競争力を高めることができます。

この記事では、税務上の取り扱いから実務の注意点、経営者が得られるメリットまで詳しく解説します。


冠婚葬祭費用は経費にできるのか?

取引先や事業関係者の場合

  • 取引先や顧客、協力会社の結婚式や葬儀に出席した際のご祝儀や香典
  • 業務に関わる関係者の慶弔見舞金

これらは、交際費として処理可能です。

エビデンス(証拠書類)の保管

  • 招待状、案内状、香典袋のコピーなどがあれば安心
  • なくても「誰に対して、どのような関係で支払ったのか」を記録しておけば問題なし

👉 曖昧なまま経費にしていると、税務調査で「事業関連性が不明」と指摘されるリスクがあります。


従業員に対する冠婚葬祭費用

従業員やその家族の慶弔に会社から支給する「慶弔見舞金」も、福利厚生費として経費計上可能です。

  • 結婚祝い金
  • 出産祝い金
  • 弔慰金
  • 傷病見舞金

これらは「従業員全体を対象とする規程」が整っていれば、課税されずに福利厚生費として処理できます。


経営者にとってのメリット

1. 税務上のメリット

  • 取引先関係は交際費として損金算入可能(中小企業は年800万円まで全額損金)。
  • 従業員関係は福利厚生費として全額損金算入可能。

2. 従業員満足度の向上

「会社が自分や家族のことを気にかけてくれている」
この安心感は従業員のロイヤリティを高め、離職率低下につながります。

3. 採用コスト削減

  • 従業員の紹介で人材を採用する「リファラル採用」につながる。
  • 求人広告や人材紹介に頼らずとも優秀な人材が集まる。

注意点と落とし穴

  • プライベート支出は経費にならない
     例:社長個人の友人の結婚式、親族の葬儀 → 経費否認対象
  • 支給基準が不明確だと給与扱いになる
     従業員の一部にだけ支給すると「給与課税」される可能性あり。
  • 金額が過大だと福利厚生費ではなく交際費扱いに
     常識的な範囲(数万円程度)に収めることが大切。

実務上の工夫

  1. 慶弔規程を整備する
     → 「結婚祝いは〇万円」「弔慰金は〇万円」とルール化。
  2. 支給履歴を記録する
     → 誰に、いくら、どんな理由で支払ったかを一覧管理。
  3. 証憑の保管
     → 招待状、案内状、領収書など。なくても経費計上できるが、あれば安心。

キャッシュフロー経営の観点から

冠婚葬祭費用は突発的に発生することが多いものです。
資金繰り表に「慶弔見舞金予算」をあらかじめ組み込んでおけば、急な支出にも余裕を持って対応できます。


まとめ

  • 冠婚葬祭費用は事業関係者なら交際費、従業員なら福利厚生費として経費計上可能。
  • 招待状や記録を残すと税務調査でも安心。
  • 従業員思いの会社は、離職率低下・リファラル採用につながり、採用コスト削減効果もある。
  • 規程を整備し、常識的な範囲での支給を徹底することが重要。

最後に

私は、経営者が「節税」と「従業員満足度向上」を両立できるように、慶弔規程の整備や経費処理のルールづくりをサポートしています。
小さな積み重ねが、従業員からの信頼、税務調査の安心、そして採用コスト削減へとつながります。

「従業員思いの会社であること」が、数字以上に大きな価値を生む時代です。
冠婚葬祭費用を正しく活用し、強い経営基盤を築いていきましょう。


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