借入も事業拡大もタイミングが命!決算ごとの財務診断で経営を有利に進める秘訣
決算ごとに財務診断を行うことの重要性
~融資と事業拡大の最適なタイミングを逃さないために~
はじめに
「決算が終わって納税額が出たら、それでひと段落」
そう考えていませんか?
実は、決算は「税金を計算するためのもの」ではなく、会社の未来を切り拓くための出発点です。
特に、融資を受けるタイミングや事業拡大の一歩を踏み出す時期を見極めるには、決算直後に必ず財務診断を行うことが欠かせません。
この記事では、
- 財務診断の目的とポイント
- 借入タイミングを間違えた企業の事例
- 財務診断を通じて融資を有利に進めた成功事例
- 経営者が意識すべき「未来の数字の読み方」
を整理し、経営者が「今すぐ財務診断をしなければならない」と感じることになる内容をお届けいたします。
1. なぜ決算ごとに財務診断が必要なのか?
税金計算だけでは足りない
決算書は「過去1年間の成績表」です。
しかし、銀行や取引先は決算書を「これからの会社の信頼度を測る材料」として見ています。
つまり、経営者は「納税額がいくらか?」ではなく、
- 自社の財務体質は強いのか弱いのか
- 銀行は自社をどう評価するのか
- 借入をするなら今なのか、それとも準備不足なのか
を読み解かなければいけません。
銀行は決算書をベースに評価する
銀行融資の審査では、まず直近の決算書が基準になります。
決算書の数字が健全であれば、融資の条件は良くなります。
逆に、決算書で赤字が続いたり、債務超過であれば、条件が悪化するか、融資自体が受けられません。
結論:決算書を提出する前に、必ず自社で診断を行い「銀行に見せても安心な内容か」を確認することが重要です。
2. 借入のタイミングを間違えるとどうなるか?
ケース1:資金繰りが厳しくなってから借入を申し込む
資金ショート寸前で銀行に駆け込むと、銀行は「資金繰りに問題がある」と見なし、条件が悪くなったり融資を断られたりします。
→ 正しいタイミングは「資金に余裕がある時」に申し込むことです。
ケース2:事業拡大をしたいのに資金が足りない
「新しい店舗を出したい」「新規設備を導入したい」と思っても、直近の決算が悪ければ銀行は貸してくれません。
→ だからこそ、事業拡大の前に「財務の健康診断」をして、数字を改善する準備が必要です。
3. 財務診断で確認すべき主要ポイント
① 自己資本比率
自己資本比率が30%以上あれば、銀行は「安定している」と評価します。
逆に10%未満なら、銀行は慎重になります。
② 債務償還年数
借入金を返済するのに何年かかるかを示す指標。
- 10年以内 … 健全
- 15年超 … 要注意
- 20年超 … 新規融資は厳しい
③ 営業キャッシュフロー
「営業活動で現金を生み出せているか」が重要です。
利益が出ていてもキャッシュがマイナスなら、銀行は警戒します。
④ 粗利率と経費比率
売上が増えても粗利率が低ければ、資金は残りません。
経費比率が高ければ資金繰りは苦しくなります。
4. 財務診断から導く「融資成功のストーリー」
銀行は「数字」だけでなく「数字の背景」を重視します。
- なぜ利益が下がったのか
- 今後どう改善するのか
- 借入金を何に使い、どう返済するのか
これを説明できるかどうかで、銀行の融資判断は変わります。
財務診断をして、改善策を言語化することが、融資成功の近道です。
5. 事例紹介
事例1:資金繰り表を作成し、追加融資に成功
製造業A社は、決算で利益は出ていたが資金繰りが厳しかった。
→ 決算後すぐに財務診断を実施し、資金繰り表を作成。銀行に提出したところ、「管理できている」と評価され、追加融資が実現。
事例2:借入のタイミングを逃して資金ショート
飲食業B社は、売上が増えていたが資金繰りを軽視。
→ 設備投資を急いだが資金不足に陥り、銀行から追加融資を断られる。最終的に高金利のノンバンク融資を利用することに。
事例3:財務体質を改善して好条件融資
建設業C社は自己資本比率が低く、融資条件が厳しかった。
→ 財務診断を行い、利益留保と資産売却で体質を改善。翌年には銀行からの評価が上がり、低金利の融資に成功。
6. 経営者がやるべき実践ステップ
- 決算が終わったら、すぐに財務診断をする
(自己資本比率・債務償還年数・キャッシュフローを確認) - 資金繰り表を作成し、銀行に共有する
(数字の裏付けがあることで信用度が上がる) - 借入は「余裕がある時」に申し込む
(資金繰りに困ってからでは遅い) - 事業拡大は財務体質が整ってから
(赤字決算や資金不足では銀行は支援してくれない)
まとめ
- 決算書は「税金計算」ではなく「会社の未来戦略の出発点」
- 借入は「困った時」ではなく「余裕がある時」に申し込むことが鉄則
- 財務診断を行えば、銀行に説明できる「融資成功のストーリー」が作れる
- 資金繰りに悩む経営者こそ、毎期の財務診断で未来を切り拓ける
最後に
資金調達や事業拡大の成否は、決算直後の「財務診断」をどれだけ丁寧に行うかにかかっています。
財務診断を軽視する会社は、融資のタイミングを逃し、資金繰りに追われることになります。
逆に、財務診断をしっかり行い、自社の強みと課題を把握している会社は、銀行から「安心して貸せる会社」と評価されます。
「決算が終わったら必ず財務診断をする」――
この習慣が、会社の未来を大きく変える第一歩です。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。