資金繰りが厳しい会社必見!借入金と月商の関係から導くランク別改善戦略
借入金残高は月商の何倍までが安全圏か?
資金繰りに悩む経営者が知っておくべき融資判断の基準
はじめに
「借入金が多すぎるのではないか?」
「銀行からの新規融資を断られたのは、借入残高が原因か?」
経営者の多くが頭を悩ませるテーマが「借入金残高と資金繰り」です。
特に資金繰りが厳しい会社ほど、借入金の比率が高く、毎月の返済負担が資金を圧迫しています。
銀行も融資審査において「借入金残高と月商の関係」を見ています。
この記事では、借入金残高と月商の倍率を目安にランク分けし、各ランクに応じた経営判断の方向性を整理しました。
1. 銀行が注目する「借入金残高 ÷ 月商」の指標とは?
銀行が融資審査で重視するのは、「返済できる力があるかどうか」です。
そのために使われる指標の一つが、借入金残高と月商の倍率です。
目安となる基準
- 借入金残高 ≦ 月商の3倍以内 … 健全と見られる
- 借入金残高 ≒ 月商の6倍程度 … 要注意ライン
- 借入金残高 ≧ 月商の12倍超 … 融資は厳しくなる
銀行は、借入金が月商の何倍あるかを見ることで「この会社が借入を返済できるキャッシュを生み出せるのか」を判断します。
2. ランク分けと経営判断
ここでは、借入金残高と月商の倍率によって会社をランク分けし、それぞれの状態で取るべき経営判断を整理します。
ランクA:月商の3倍以内(健全圏)
- 銀行評価:高い
- 融資:新規融資も前向きに検討されやすい
- 経営判断:
- 借入金返済負担が軽く、資金繰りは比較的安定
- 次の投資や新規事業に資金を回しやすい
- 将来の資金需要を見越して金融機関と関係を深めることが有効
ランクB:月商の6倍以内(注意圏)
- 銀行評価:慎重
- 融資:業績が良ければ可能だが、条件は厳しくなる
- 経営判断:
- 借入金返済負担が重くなり、資金繰りに余裕がなくなる
- 粗利率やキャッシュフローの改善が必須
- 設備投資や新規事業は慎重に進める必要あり
ランクC:月商の12倍以内(危険圏)
- 銀行評価:低い
- 融資:極めて厳しい。リスケや返済条件変更の対象になりやすい
- 経営判断:
- 借入返済で資金が枯渇し、日々の資金繰りに追われる
- 不要な資産を売却してキャッシュを確保する必要あり
- 在庫管理・経費削減を徹底し、利益改善に集中すべき
ランクD:月商の12倍超(融資不可能圏)
- 銀行評価:ほぼ融資は困難
- 融資:新規借入は不可能に近い
- 経営判断:
- キャッシュフローを改善しない限り経営継続が危うい
- 事業の縮小・統合、資産売却による借入削減が急務
- 財務コンサルタントや税理士など外部の専門家に相談すべき段階
3. 借入金残高が多い会社が陥る資金繰り悪化の原因
① 利益より返済が先行する
- 利益が出ていても、返済が重く資金繰りが回らない
- 「利益はあるのにお金がない」という典型的な状態
② 借入依存体質
- 運転資金まで借入に依存すると、借金は雪だるま式に増える
- 新規融資が受けられず、資金ショートに直結
③ 在庫や売掛金に資金が滞留
- 売上は計上されても、現金が回収できなければ資金繰りは苦しい
- 在庫回転率の低下や売掛金回収遅延が悪化要因
4. 改善するための具体策
① 借入の組み換え(リファイナンス)
- 短期借入金を長期借入金に切替えて月々の返済負担を軽減
- 金利交渉や銀行間競争を利用して条件を改善
② 不要資産の売却
- 遊休資産や使っていない設備を売却し、借入返済に充当
- キャッシュを作ることで債務償還年数を改善
③ 在庫・売掛金管理の徹底
- 在庫を抱え込みすぎない
- 売掛金の回収サイト短縮、保証制度の活用
④ 資金繰り表の作成と公開
- 毎月の資金繰り表を作成して銀行に提示
- 「資金繰りを管理できる経営者」と評価されることで追加融資の可能性が高まる
5. 事例:資金繰り改善に成功した企業
事例1:借入金月商比率12倍 → 6倍に改善
建設業のA社は借入依存が強く、新規融資を断られていた。
→ 不要資産の売却と在庫圧縮を実施し、返済に充当。結果、半年で12倍から6倍に改善し、新たな運転資金融資を獲得。
事例2:資金繰り表で銀行評価を改善
製造業のB社は資金繰りが厳しかったが、毎月の資金繰り表を銀行に提出。
→ 「計画性のある経営者」と評価され、返済条件の緩和と追加融資を引き出した。
まとめ
- 借入金残高は月商の3倍以内が健全圏、6倍を超えると要注意、12倍を超えると危険圏
- 借入金依存は資金繰り悪化の最大要因
- 改善策は「借入組み換え」「資産売却」「在庫・売掛管理」「資金繰り表の提示」
- 経営者は「銀行に信頼される経営姿勢」を持つことが、資金繰り改善の第一歩
最後に
借入金は「使い方」と「返済の仕組み」で経営の武器にも負担にもなります。
もし今「借入金残高が重く、資金繰りが厳しい」と悩んでいる経営者の方は、一度数字を整理し、自社がどのランクにあるかを冷静に把握してください。
資金繰りの改善は、一人で悩むよりも専門家の知見を活用することで大きく前進します。
「利益は出ているのにお金が残らない」その状態を脱し、健全な財務体質を築くことが、未来の成長への第一歩です。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。