「金融機関は融資先のどこを見ている?個人資産・法人の体力・収益性を徹底解説」
金融機関は融資先のどこを重視しているのか?
〜経営者が知っておくべき審査ポイントと有利に働く書類・心得〜
はじめに
経営者にとって、融資は事業の成長や資金繰りを支える大きな手段です。
しかし、金融機関がどこを見て判断しているのかを理解せずに融資を申し込むと、審査が通らなかったり、希望条件を引き出せなかったりするケースが多くあります。
「金融機関は、個人資産を見ているのか?法人の体力か?収益性か?」
「融資を申し込む際に必要な書類は何か?」
「あると有利に働く資料はどんなものか?」
この記事では、金融機関の審査の視点を分かりやすく解説し、経営者が心得ておくべき準備や実務上のポイントを事例を交えて紹介します。
1. 金融機関が融資先を評価する3つの柱
金融機関は「返済可能性」を見極めるため、次の3つを重点的に見ます。
① 個人資産・経営者保証
- 経営者個人の預金・不動産・有価証券などの資産
- 連帯保証を求める場合、個人資産が信用補完になる
- 「自己資金をどれだけ投じているか」で本気度を測る
② 法人の体力(財務内容)
- 自己資本比率
- 流動比率・固定長期適合率など安全性指標
- 直近の利益水準と内部留保の厚み
③ 収益性・キャッシュフロー
- 営業利益や経常利益よりも「営業キャッシュフロー」を重視
- 売上の増加よりも「安定した利益・返済原資」を評価
- 粗利率やEBITDA(利払い・減価償却前利益)を確認
2. 融資申し込みに必要な基本書類
① 決算書・試算表
- 直近3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書・内訳書)
- 最新の試算表(決算から半年以上経過している場合)
② 納税証明書
- 法人税・消費税の納付証明
- 納税状況が悪いとマイナス評価
③ 会社概要資料
- 沿革・事業内容・取引先構成・強み
- 担当者が会社を理解しやすい資料
④ 資金繰り表・借入返済予定表
- 今後1年の資金収支を見える化
- 他行借入の返済計画を整理
⑤ 資金使途を証明する資料
- 設備投資なら見積書・契約書
- 運転資金なら仕入契約・受注書類
3. 融資が有利に動く「プラス資料」
金融機関は「安心できる材料」を欲しがります。次の資料があると交渉が有利に進みます。
- 事業計画書:3〜5年の売上・利益・キャッシュフロー計画
- 取引先との長期契約書:将来の安定収益の根拠
- 補助金・助成金の採択通知:国や自治体が支援している=信用強化
- 経営者個人の資産一覧表:裏付けのある保証力
- 内部管理の証拠:月次試算表・資金繰り表を日常的に作成している
4. 金融機関とのやりとりで心得ること
① 嘘やごまかしは絶対NG
→ 金融機関は「調査」で真実を把握しています。小さな矛盾が信頼を失います。
② 数字だけでなくストーリーを語る
→ 「なぜこの投資が必要か」「どう成長するか」を説明できることが重要。
③ 経営者の姿勢も評価対象
→ 書類の整備度、質問への回答の的確さが「経営力の証明」になります。
5. 事例で学ぶ融資の成否
成功事例1:事業計画と契約書で信用を得たケース
製造業A社は、新工場建設のため融資を希望。
詳細な事業計画書と、大手取引先との5年間契約書を提出。
結果、当初希望額以上の融資が通り、長期・低金利の条件を獲得。
成功事例2:補助金と連動で信用強化
飲食業B社は、新規店舗開業資金を申請。
IT導入補助金の採択通知を提示したところ「国の支援あり」と評価され、スピード審査で承認。
失敗事例1:納税証明の未提出で信頼低下
C社は納税資金を別用途に流用しており、納税証明を提出できなかった。
金融機関から「資金管理が甘い」と判断され、融資条件が厳格化。
6. 経営者が心得ておくべきまとめ
- 金融機関は「返済能力」と「信用力」を最重要視
→ 個人資産・法人の体力・収益性の3本柱で評価 - 必要書類は漏れなく提出する
→ 決算書・納税証明・資金繰り表・資金使途の裏付け - プラス資料で差別化する
→ 事業計画書・契約書・補助金採択通知など - 面談では数字とストーリーを両立させる
→ 経営者の本気度と計画性が信用を高める
最後に
私はこれまで多くの経営者の融資サポートを行ってきましたが、結果を左右するのは「準備の質」だと痛感しています。
金融機関は敵ではなくパートナーです。
信用を勝ち取るために必要な書類を整え、自社の未来像を明確に伝えることが、最良の融資条件を引き出す唯一の道です。
ぜひこの記事を参考に、融資申請の準備を万全に整え、成長の資金を確実に手にしてください。
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