生命保険料が払えなくなった時でも諦めないで!
〜契約を継続するための2つの方法と注意点〜
はじめに
経営者の皆さまにとって、生命保険は万が一の備えであり、家族や会社を守るための大切な保障です。
しかし、経営が厳しくなったときや資金繰りが悪化したとき、真っ先に見直しの対象となるのが「保険料の支払い」です。
「保険料が払えなくなったら、自動的に解約されて終わり…」
そう思っている方も多いですが、実はすぐに解約する必要はありません。
生命保険には「払い済み保険」や「延長定期保険」など、契約を継続するための制度が用意されています。
この記事では、これらの仕組みを経営者にわかりやすく解説し、保険を守るために知っておくべきポイントを整理します。
保険料が払えないとどうなる?
通常、保険料の支払いが滞ると、以下の流れで契約は失効へ向かいます。
- 保険料未納が発生
- 猶予期間(通常は1~2か月)
- 猶予期間を過ぎても支払われなければ契約失効
ただし、解約返戻金のある保険の場合は、解約返戻金を活用して契約を継続する仕組みが用意されています。
それが以下の2つです。
- 払い済み保険
- 延長定期保険
払い済み保険とは?
仕組み
- これまで積み立てた解約返戻金を元手に、保険料の支払いをやめても保障が続く制度。
- 保険金額は減額されるが、保険期間はそのまま継続できる。
メリット
- 保険期間が変わらない
- 保険料の支払いが不要になる
- 将来にわたり基本的な保障が残せる
デメリット
- 保険金額が大幅に減る
- 特約(入院特約や医療特約など)はすべて消滅する
- 元に戻すことはできない
延長定期保険とは?
仕組み
- 保険金額は変えずに、解約返戻金を活用して「定期保険」として契約を延長する制度。
- 保険金額は同じだが、保険期間が短くなる。
メリット
- 大きな保障額をそのまま維持できる
- 保険料の支払いが不要になる
- 一定期間だけでも高額保障を残せる
デメリット
- 保険期間が短縮される
- 特約はすべて消滅する
- 延長された期間が終われば保障も消滅
払い済み保険と延長定期保険の比較
項目 | 払い済み保険 | 延長定期保険 |
---|---|---|
保険金額 | 減額される | 元の金額を維持 |
保険期間 | 変わらない | 短縮される |
特約 | すべて消滅 | すべて消滅 |
向いている人 | 長期間の保障を維持したい人 | 大きな保障を短期間でも残したい人 |
👉 どちらを選ぶかは「保障額を優先するか」「保障期間を優先するか」によります。
経営者に多い誤解と注意点
- 「保険料を払えなければすぐ解約」 → ×
→ 払い済みや延長定期で継続可能。 - 「特約も残せる」 → ×
→ どちらを選んでも特約は消滅する。 - 「一度選んでも戻せる」 → ×
→ 元には戻せないため慎重な選択が必要。
具体的なシナリオ例
ケース1:経営が厳しく長期的に保険料を払えない
→ 払い済み保険に切り替え、減額後でも長期的な保障を維持
ケース2:会社の借入があり、短期間だけでも大きな保障が必要
→ 延長定期保険を選び、返済が終わるまでの期間だけ保障を確保
経営者が取るべきアクション
- まずは解約返戻金の金額を確認
- 払い済みと延長定期の試算を出して比較
- 家族・会社の状況に応じて選択
- 特約が消滅することを理解してから決断
まとめ
- 保険料が払えなくても、解約せずに契約を継続できる制度がある
- 「払い済み保険」:保障額は減るが期間は維持
- 「延長定期保険」:保障額は維持だが期間が短縮
- どちらも特約は消滅するので注意
- 経営者は資金繰りと家族保障の両面から判断を
最後に
私はこれまで多くの経営者様の保険見直しに立ち会い、「知らなかったために必要な保障を失った」というケースを数多く見てきました。
保険は単なる節税や経費対策ではなく、会社と家族を守る大切な備えです。
もし保険料の支払いに困っても、諦める前に「払い済み」「延長定期」という選択肢を検討してください。
それが、経営者として賢く家族を守る第一歩となります。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。