経理

【要注意】減価償却費を“調整”して黒字化しても、金融機関には通用しない!?

〜銀行は必ず“満額計上”で再計算している〜


はじめに|黒字を維持したい経営者の思惑と“減価償却の魔法”

資金繰りや銀行評価を考えると、「赤字決算だけは避けたい」と考える経営者は多いでしょう。
その中でよく使われる手法が、減価償却費の調整です。

  • 満額計上すると赤字になってしまう
  • そこで、一部だけ計上して利益を黒字にする

こうしたケースは決して珍しくありません。

しかし、金融機関はそのままの数字を鵜呑みにしてくれるでしょうか?
答えは、NOです。


減価償却費とは?(おさらい)

  • 固定資産(機械・車・建物など)の購入費用を、耐用年数に応じて少しずつ経費にしていく仕組み
  • 毎期「減価償却費」として計上される

👉 現金支出は伴わないが、帳簿上は費用になるのが特徴。


減価償却費を“調整”するとどうなる?

✅ 経営者が考える狙い

  • 「今期は赤字を避けたい」
  • 「銀行融資の審査で黒字決算を見せたい」

そこで、減価償却費の一部を計上せずに利益を残すという調整が行われます。


銀行は決算書をどう見る?

ここが最大のポイントです。

銀行は 「減価償却費を一部しか計上していない」決算書を見抜きます
そして、必ず“満額計上した場合”の利益を再計算しています。


✅ なぜバレる?

  • 決算書の【別表・勘定科目内訳書・固定資産台帳】から、
     資産の取得金額・耐用年数・償却率がわかる
  • 税理士が添付する申告書類にも記載されている

👉 銀行は減価償却費を「いくら満額計上すべきか」簡単に把握できるのです。


✅ 銀行がやっていること

  1. 固定資産台帳をチェック
    • どんな資産を、いくらで買ったか?
  2. 税法上の耐用年数を確認
    • 何年で償却するべきか?
  3. 満額償却したら利益はいくらか?を再計算
    • 決算書の黒字は「見せかけ」かどうかを判断

減価償却費を調整した決算はどう評価される?

❌ 信頼度が落ちるリスク

  • 「見た目の黒字」にしただけと判断される
  • 銀行の心証を悪くすることも

❌ 資金繰りの実態が伝わらない

  • 減価償却費を満額計上しても資金繰りに影響はないのに、
    「利益を作るために操作している」印象を与えやすい

✅ 一方で、銀行は…

  • 再計算して“本当の利益”を把握
  • 「満額償却しても黒字か?」を重視

銀行が見る「本当の決算」とは?

銀行は、決算書の数字だけでなく、決算書の“奥”を見ています

  • 減価償却費を満額計上した場合の利益
  • 減価償却前の利益(営業キャッシュフロー)
  • 本業の儲け(営業利益)

👉 「赤字を黒字に見せた調整」は、ほぼ確実に見破られるということです。


経営者がやるべきことは?

1️⃣ 「見せかけの黒字」より「実態改善」

  • 減価償却費を調整して黒字を作るのではなく、
    本業の利益を改善する努力が重要。

2️⃣ 銀行には正直に話す

  • 「減価償却費を調整しています」と正直に説明し、
    資金繰りや投資計画を明示する方が信頼につながります。

3️⃣ キャッシュフローを見せる

  • 銀行は「減価償却費=現金支出なし」と理解しています。
    👉 キャッシュフロー計算書や資金繰り表を用意すると好印象。

まとめ|減価償却費を“ごまかしても”銀行には通用しない

  • 銀行は満額計上した数字で必ず再計算
  • ✅ 見た目の黒字にしても、本当の実力は丸見え
  • ✅ 銀行に信用されるのは「正直さ」と「改善努力」

ご相談ください|銀行から信頼される決算書づくりを

  • 減価償却費の正しい計上アドバイス
  • 銀行に響く決算書の作り方・説明の仕方
  • キャッシュフロー重視の経営計画づくり

“数字の化粧”より、“経営改善の実態”を一緒に作りましょう。

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