コラム

【第1回公募】新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?3つの枠と申請要件を解説

こんにちは!税理士の長岡です。今回は、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?」の内容になります。

ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合され、令和8年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」がスタートしました。第1回公募は2026年6月29日に開始。新製品・新サービスの開発や新市場への進出を検討している中小企業にとって、今いちばん注目すべき制度です。

ただし「最大9,000万円」という数字だけを見て動くと、間違いなくつまずきます。申請前に整えておかないと間に合わない前提条件がいくつもあるためです。この記事では、制度の中身と、実務上どこから手をつけるべきかを整理しました。

3つの枠|自社の取組がどれに当たるか

項目 革新的新製品・サービス枠 新事業進出枠 グローバル枠
対象事業 革新的な新製品・新サービス開発 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出 海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化
補助上限額 最大3,500万円 最大9,000万円 最大9,000万円
補助率 中小企業1/2(条件により2/3)、小規模2/3 中小企業1/2(条件により2/3) 中小企業2/3
実施期間 交付決定日から10か月以内 交付決定日から14か月以内 交付決定日から14か月以内

ざっくり整理すると、革新的な製品開発なら1つ目、新市場への進出なら2つ目、海外展開なら3つ目。上限額は新事業進出枠とグローバル枠が高く、グローバル枠は補助率も2/3と有利です。

「最大9,000万円」は、誰でも狙える金額ではありません

補助上限額は従業員規模に応じて段階的に設定されています。新事業進出枠の場合、従業員1〜20人なら基本2,500万円(賃上げ特例適用時3,000万円)、21〜50人で4,000万円(同5,000万円)、51〜100人で5,500万円(同7,000万円)、101人以上でようやく7,000万円(同9,000万円)。9,000万円は「101人以上かつ賃上げ特例適用」の場合の数字です。

小規模な事業者ほど上限は低くなります。とはいえ2,500万円でも十分に大きな投資が可能ですので、自社の規模で狙える金額を正しく把握してから計画を立てることが大切です。

対象となる業種・企業規模

製造業だけでなく、建設業、運輸業、卸売業、小売業、サービス業、旅館業、ソフトウェア業など幅広い業種が対象です。ただし業種ごとに資本金または常勤従業員数の基準があります。

主な業種 資本金 常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下

ソフトウェア業や旅館業などには別基準があります。また、従業員0名の事業者、創業1年未満の事業者(新事業進出枠)、みなし大企業などは対象外です。

共通要件|3〜5年の事業計画で3つの数値目標

いずれの枠でも、3〜5年の事業計画において次のすべてを満たす必要があります。

  • 付加価値額:年平均成長率4.0%以上の増加
  • 1人あたり給与支給総額:年平均成長率3.5%以上の増加
  • 事業場内最低賃金:地域別最低賃金より+30円以上高い水準

ここは「努力目標」ではありません。目標未達の場合、補助金の一部または全額の返還義務が生じる場合があります。とくに賃上げは、補助事業がうまくいかなくても人件費は固定的に増え続けます。採択されることより、実行できることのほうが重要——この制度に関しては、本当にそう申し上げたいところです。

特例を使うと上限額・補助率が上がる

賃上げ特例(給与支給総額 年平均+6.0%以上、最低賃金+50円以上)を満たせば補助上限額が引き上げられます。また最低賃金引上げ特例に該当すれば、補助率が引き上げられます。ただし未達の場合は上乗せ分の返還が求められます。

【要注意】申請前に整えておくべき前提条件

ワークライフバランス要件:一般事業主行動計画の公表

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、外部への公表と従業員への周知まで済ませておく必要があります。加えて、子育て・職場環境整備への取組も求められます。

これが実務上いちばんの落とし穴です。事業計画の中身以前に、この準備ができていないと申請そのものが成立しません。策定・公表には一定の時間がかかりますので、着手は早いほど安全です。

なお、金融機関から資金調達をする場合には、金融機関の確認書の提出も必要になります。

補助対象経費

機械装置・システム構築費、技術導入費、知的財産関連費、外注費・専門家費、クラウド利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費などが対象です。建物費は新事業進出枠とグローバル枠のみ、海外旅費・翻訳費はグローバル枠のみが対象となります。

活用イメージと、対象外になりやすいパターン

革新的新製品・サービス枠の例

  • 製造業が、従来の加工技術を応用して新たな医療・介護向け部品を開発し、量産に必要な機械装置を導入する
  • サービス業が、独自ノウハウをシステム化し、顧客がオンラインで利用できる新サービスを開発する

注意:単なる設備更新や、既存の生産工程を効率化するだけでは対象外です。既に広く普及している製品・サービスの開発も対象外となる可能性があります。単に機械を導入するだけで、新製品・新サービスの開発を伴わないものも該当しません。

新事業進出枠の例

  • 部品メーカーが、自動車部品製造で培った技術を活かし、ロボット産業向けの新部品を製造するための設備を導入する
  • 食品製造業が、既存商品とは異なる高齢者・介護施設向け食品を開発し、新たな製造ラインを導入する

注意:既存商品の単なる増産や再製造は対象外の可能性があります。「新製品・新サービス」と「新市場」の両方を整理しておくことが重要です。なお、ここでいう新規性は日本初・世界初である必要はなく、その会社にとっての新規性で判断されます。

第1回公募スケジュール

  • 公募開始:2026年6月29日(月)
  • 申請受付:2026年9月30日(水)
  • 応募締切:2026年10月30日(金)18:00厳守
  • 採択発表:2027年1月(予定)

電子申請のみで、GビズIDが必須です。取得には時間がかかるため、未取得の方は今すぐ手続きしてください。

【最重要】事業計画は「自分で書く」必要があります

公募要領には、事業計画の作成は必ず申請者自身が行うこと、作成自体を申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消となる旨が明記されています。認定経営革新等支援機関を含む外部支援者の助言を受けることは差し支えありませんが、丸投げはできません。

「申請書を書いてもらえる先を探す」という発想では、この補助金は通りません。私たち認定支援機関の役割は、代筆ではなく経営者が自分の言葉で書けるように、論点と数字を一緒に整理することです。ここを勘違いしないでください。

採択後も5年間の報告義務があります

補助金の受給後、5年間にわたって事業化状況を定期報告する義務があります。設備は補助事業専用で使用する義務もあり、採択=満額交付でもありません。減額や対象外の判定が生じる場合があります。

つまりこの補助金は、申請から数えて6〜7年つき合う制度だということです。短期の資金調達手段として捉えると、後で必ず苦しくなります。

認定経営革新等支援機関として、当事務所がお手伝いできること

  • 3つの枠のどれに当てはまるか、そもそも申請できるかの適格性の確認
  • 付加価値額・賃上げ計画の数値設計(実行可能な水準かどうかの検証)
  • 一般事業主行動計画など、前提条件の整備スケジュールの逆算
  • 金融機関の確認書取得、自己負担分・つなぎ資金の資金調達サポート
  • 採択後の実績報告・事業化状況報告を見据えた経理体制の整備

よくあるご質問

Q. 創業したばかりですが申請できますか?

A. 新事業進出枠は創業1年未満の事業者が対象外です。創業期の方には、持続化補助金の創業型など別の制度をご案内できます。

Q. 「新規性」は日本初でないとだめですか?

A. いいえ。自社にとっての新規性で判断されます。ただし、同業他社に既に相当程度普及しているものは該当しないとされています。

Q. 補助金はいつ入金されますか?

A. 事業を実施し、実績報告の審査が終わってからの後払いです。数千万円規模の投資では、立替資金の準備が不可欠です。

まとめ|第1回の締切は10月30日

第1回公募の締切は2026年10月30日18:00。事業計画の作成に加えて、一般事業主行動計画の策定・公表、GビズIDの取得、見積の収集と、やるべきことは多岐にわたります。今から動いても、決して早すぎることはありません。

「自社の取組が対象になるのか」「どの枠で狙うべきか」——この判断だけでも大きく前進します。数字の裏付けと実行可能性の検証まで含めて、ご一緒に組み立てます。

補助金申請のご相談はお気軽に

長岡会計事務所(兵庫県芦屋市)/認定経営革新等支援機関
各種補助金申請・経営改善計画書の作成・優遇金利での資金調達・創業支援に対応しています。

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※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。公募要領は改版されることがあり、スケジュールや要件が変更される場合があります。申請にあたっては必ず補助金事務局の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。

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