コラム

【令和8年新設】モニタリング強化型特別保証とは?保証料が実質0.23〜0.95%になる新制度を解説

こんにちは!税理士の長岡です。今回は、「モニタリング強化型特別保証について!」の内容になります。

「金利は下がってきたけれど、信用保証料の負担が意外と重い」——資金調達のご相談で、経営者の方からよくお聞きする声です。その保証料の負担を大きく軽くしながら、借りた後の経営まで専門家と一緒に見ていくという新しい発想の制度が、令和8年3月16日からスタートしました。「モニタリング強化型特別保証制度」です。この記事では、制度の中身とメリット、そして利用前に押さえておきたい注意点まで、認定経営革新等支援機関の視点から分かりやすく解説します。

モニタリング強化型特別保証とは?

モニタリング強化型特別保証は、中小企業者が認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士など)と連携して、月次で財務状況や資金繰り状況を把握し、金融機関および信用保証協会に経営状況を報告することを条件とした、信用保証協会の全国統一制度です。

ポイントは、単なる「資金を借りるための制度」ではないという点にあります。経営状況の変化を早期に捉え、金融機関や保証協会による適時・適切な経営支援につなげること——つまり借入後の経営を見守り、早めの対応につなげる仕組みが制度そのものに組み込まれています。

資金調達は「借りて終わり」ではありません。この制度は、毎月の数字を専門家と確認する習慣を、保証料の優遇という形で国が後押しするものだと考えると分かりやすいと思います。

この制度の3つのメリット

メリット1|コスト面:保証料の実質負担が0.23%〜0.95%に

従来は、金利に加えて信用保証料もまるまる事業者の負担でした。本制度では、令和8年3月16日から令和9年3月31日までに保証申込を行った場合、本来の保証料率(0.45%〜1.90%)の2分の1相当額を国が補助します。結果として、事業者の実質負担は0.23%〜0.95%まで下がります。

メリット2|経営面:毎月、会計のプロと一緒に資金繰りを確認

従来は、借りた後の返済と資金繰り管理は自力で行うのが当たり前でした。本制度では、月次で財務状況や資金繰りを専門家と一緒に確認することが前提になります。「気づいたら資金が減っていた」という事態を防ぎやすくなるのが実務上の大きな価値です。

メリット3|変化への備え:4者で早期に対策を協議できる

従来は、業績が悪化し手遅れになってから銀行に相談する、というパターンが少なくありませんでした。本制度では、中小企業者・認定経営革新等支援機関・金融機関・信用保証協会の4者が、変化の予兆を捉えた段階で対策を協議できます。傷が浅いうちに動けるかどうかで、その後の選択肢の広さはまったく変わります。

制度概要(一覧)

対象者 認定経営革新等支援機関と連携し、月次で財務状況や資金繰り状況等を把握し、経営状況等の報告を行うことを誓約する中小企業者
保証限度額 2億8,000万円(普通保証2億円以内+無担保保証8,000万円以内)
保証割合 責任共有対象(80%保証)
対象資金 事業資金(運転資金・設備資金・運転設備資金)
保証期間 一括返済:1年以内/分割返済:10年以内(据置期間は運転資金1年以内、設備資金・運転設備資金3年以内)
取扱期間 令和8年3月16日〜令和11年3月31日に信用保証協会が保証申込を受け付けたもの

制度の利用にあたっては、所定の申込資料のほか「モニタリング強化型特別保証制度 申込人資格要件申告書兼誓約書」の提出が必要です。

保証料率と国の補助額

保証料率は、企業の財務内容などに応じて9つの区分に分かれます。補助後の実質負担は次のとおりです。

区分
本来の料率 1.90 1.75 1.55 1.35 1.15 1.00 0.80 0.60 0.45
補助後の負担 0.95 0.88 0.78 0.68 0.58 0.50 0.40 0.30 0.23

単位:%(年率)

たとえば料率区分⑤(1.15%)の会社が1,000万円を1年間の一括返済で借りた場合、本来なら保証料は約11万5,000円。補助が適用されると約5万8,000円となり、負担は半分になります。金額が大きくなるほど、この差は効いてきます。

【重要】補助が受けられるのは令和9年3月31日の申込分まで

制度自体の取扱いは令和11年3月31日までですが、保証料の国庫補助が受けられるのは令和9年3月31日までに保証申込を行った分に限られます。令和9年4月1日以降の申込については、補助の有無を含めて現時点では未定です。

つまり、いま資金調達を検討している会社にとっては、明確に「動くなら早いほうが得」な制度ということになります。設備投資や運転資金の予定が来期にある場合も、前倒しで検討する価値は十分にあります。

こんな会社におすすめです

  • 近いうちに設備投資や運転資金の調達を予定している
  • 保証料の負担を少しでも抑えたい
  • 物価高や人手不足で、資金繰りが以前より読みにくくなっている
  • 金融機関との関係を、決算書の提出だけで終わらせたくない
  • 月次の数字を経営判断に使える形で整えたい

利用の流れ

  1. 認定経営革新等支援機関に相談:資金使途と金額、月次モニタリングの体制を整理します
  2. 金融機関へ申込:所定の申込資料に加え、資格要件申告書兼誓約書を提出します
  3. 信用保証協会の審査・保証承諾:承諾後に融資が実行されます
  4. 借入後の月次モニタリング:毎月、財務状況・資金繰り状況を確認し、金融機関と保証協会へ報告します

利用前に押さえておきたい注意点

月次で数字が出る体制が前提になる

この制度の肝は「毎月報告する」という点にあります。裏を返せば、記帳が3か月遅れているような状態では制度を使いこなせません。逆に言えば、この制度をきっかけに月次決算の体制を整えられれば、融資も補助金も通りやすい会社に変わっていきます。

認定支援機関が申込金融機関になる場合の要件

認定経営革新等支援機関が申込金融機関そのものである場合には、申込人の総借入金残高のうち、その金融機関のプロパー融資残高の割合が5割以上であることなど、追加の要件があります。税理士など金融機関以外の認定支援機関と連携する場合には、この要件は関係ありません。

補助の対象外となる部分がある

条件変更に伴って追加で生じる保証料は、国の補助の対象外です。また、事業者選択型経営者保証非提供制度を併用する場合の上乗せ分保証料についても補助対象外となります。

「借りて終わり」にしないための月次モニタリング

正直に申し上げると、この制度でいちばん価値があるのは保証料の割引ではありません。毎月、社外の専門家と数字を突き合わせる習慣そのものです。

業績の悪化は、ある日突然やってくるわけではありません。売上総利益率がじわじわ落ちている、在庫が増えている、回収サイトが延びている——予兆はたいてい数字に出ています。それを月次で拾えるかどうかが、打てる手の数を決めます。

当事務所では、マネーフォワードクラウド会計を活用して、翌月上旬には前月の試算表と資金繰り表が出る体制づくりをご支援しています。この制度のモニタリング要件は、そうした本来やるべき経理体制づくりを「国が後押ししてくれる」機会と捉えていただくのがよいと思います。

よくあるご質問

Q. 業績が良くないと使えませんか?

A. 物価高や人手不足など多様な経営課題を抱える中小企業の、事業の成長や立て直しに向けた資金需要に応えることを目的とした制度です。保証料率の区分は財務内容によって変わりますが、まずは金融機関・認定支援機関にご相談ください。

Q. 顧問税理士がいれば使えますか?

A. その税理士が認定経営革新等支援機関であることが前提です。当事務所は認定経営革新等支援機関として、この制度に対応しています。

Q. 毎月の報告は手間がかかりませんか?

A. 月次決算を回している会社であれば、その延長線上で対応できます。体制が整っていない場合は、そこからご一緒に整えていきます。

まとめ

モニタリング強化型特別保証は、保証料を抑えながら、資金調達後の経営状況を専門家と確認できる制度です。しかも、保証料補助が受けられるのは令和9年3月31日の申込分まで。資金調達を考えている方、将来に備えて体制を整えたい方は、早めの検討をおすすめします。

「うちは対象になるのか」「いくら借りるべきか」といった入口の段階からご相談いただけます。数字の面から、御社の資金繰りをご一緒に整理します。

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長岡会計事務所(兵庫県芦屋市)/認定経営革新等支援機関
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※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。保証限度額や運用の細部は各都道府県の信用保証協会によって異なる場合がありますので、実際のご利用にあたっては金融機関および管轄の信用保証協会へご確認ください。

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