資金ショート寸前でも諦めない!銀行に追加融資を申し込む正しい手順と交渉術
資金繰りが悪化した時に追加融資を受ける方法
〜 経営者が知っておくべき正しい手順と銀行交渉のコツ 〜
はじめに:資金繰りが悪化した時こそ、冷静な戦略を
経営者なら誰しも一度は直面する「資金繰りの悪化」。
売上が順調でも、入金サイトのズレや支払の集中によって、資金が足りなくなることは珍しくありません。
このような時に必要なのが、追加融資(つなぎ資金)です。
しかし、多くの経営者が「銀行にどう話せばいいかわからない」「断られそうで怖い」と感じています。
実は、追加融資の成否は“準備の早さ”と“説明の根拠”で決まります。
今回は、資金繰りが悪化した際に追加融資を受けるための手順と、銀行が実際に見ているポイントをわかりやすく解説します。
第1章:銀行が資金繰り悪化時に最初に確認する3つの視点
銀行は、資金繰りが厳しくなった企業からの相談を受けると、次の3点を冷静にチェックします。
① 「資金不足の原因」が一時的か恒常的か
まず銀行が知りたいのは、なぜ資金が足りなくなったのかです。
例えば、
- 一時的な入金遅れ
- 想定外の仕入増
- 設備投資の集中
などは“短期的要因”であり、追加融資の対象になりやすいです。
一方、
- 赤字の慢性化
- 売上の構造的減少
- 回収不能債権の増加
などは“恒常的要因”であり、融資審査は厳しくなります。
経営者は、「今回の資金不足が一時的である」ことを資料で説明できるように準備する必要があります。
② 「返済原資」があるかどうか
銀行が最も重視するのは、“返済できる根拠”です。
「利益が出る見込みがあるのか」
「キャッシュフローで返済が回るのか」
つまり、融資額そのものよりも「回収可能性」を見ています。
そのため、資金繰り表や損益見通しが非常に重要になります。
③ 「経営者の信頼度」
銀行は“数字”より“人”を見ています。
資金繰りが悪化した時に、
- 早めに相談する
- 現状を正直に話す
- 対応策を整理して話す
この3点を実行できる経営者ほど、追加融資が通りやすい傾向にあります。
第2章:追加融資を申し込む前に準備すべき5つの書類
資金繰りが悪化した状態では、「スピード」と「根拠」が勝負。
そのため、以下の5つの資料を整備しておくことが重要です。
① 最新の試算表
銀行は、「今の会社の健康状態」を試算表で確認します。
月次試算表が直近まで更新されていない場合、信頼を失うことも。
特に次の3つは必ず添付しましょう。
- 損益計算書(P/L)
- 貸借対照表(B/S)
- 現預金残高明細
② 資金繰り表(3〜6ヶ月先)
追加融資を検討する際、銀行が最も重視するのが資金繰り表です。
| 月 | 売上入金 | 支払 | 借入返済 | 資金残高 |
|---|---|---|---|---|
| 11月 | 1,000万円 | 950万円 | 100万円 | ▲50万円 |
| 12月 | 1,200万円 | 900万円 | 100万円 | +150万円 |
このように、融資を受けることで資金が安定するシミュレーションを提示できれば、銀行も納得します。
③ 資金不足の原因説明書
原因を数値で説明できると、説得力が増します。
例:
- 原材料費が昨年比20%上昇(原価率50%→60%)
- 建設現場の支払いが集中し、入金が翌月末
感情ではなく、数字と事実で原因を説明しましょう。
④ 今後の改善計画書
銀行は、**「次に同じことが起きないか」**を気にします。
そのため、
- 経費削減策
- 売上拡大施策
- 回収条件の見直し
などの改善計画を提示すると、評価が上がります。
⑤ 既存借入金一覧
銀行は、既存の借入残高や返済額を把握して「追加融資の余力」を判断します。
借入先・金額・金利・残高を一覧にまとめておきましょう。
第3章:銀行交渉のステップと注意点
ステップ①:担当者に“早めに相談”
資金がショートしてから相談しても手遅れです。
「少し厳しくなりそうだ」と感じた段階で動くのが理想です。
早い相談は「誠実さ」としてプラス評価になります。
ステップ②:追加融資の目的を明確化
銀行は「融資の使途」を厳密に見ます。
✅ 運転資金(支払・仕入・人件費)
✅ つなぎ資金(入金までの一時資金)
✅ 設備資金(更新・投資目的)
「何に使うのか」を明確に伝えましょう。
ステップ③:返済期間と方法の提案
銀行は、「短期資金なのに長期返済を希望する」などの整合性を嫌います。
資金の性質に合わせた返済案を提示しましょう。
| 資金の種類 | 返済期間 | 適した融資形態 |
|---|---|---|
| 運転資金 | 1〜3年 | 短期融資 |
| 設備資金 | 3〜7年 | 長期融資 |
| 一時的資金 | 6ヶ月以内 | 当座貸越 or つなぎ融資 |
ステップ④:担当者が本部稟議を通しやすい資料を作る
融資担当者は、社内で稟議書を作成します。
このとき、社内説明資料として使えるように
「見やすい」「数字で根拠がある」資料を準備することが重要です。
ステップ⑤:面談での“話し方”
銀行は数字だけでなく、経営者の態度を見ています。
✅ 現状を正直に話す
✅ 責任逃れをしない
✅ 解決策を一緒に考える姿勢を見せる
これが、信頼を得る最大のコツです。
第4章:追加融資を通しやすくするための3つの実践ポイント
① 取引銀行を分散させすぎない
複数行と取引している企業では、銀行同士の情報共有が難しく、追加融資が通りづらくなります。
まずはメインバンクに一元化して相談しましょう。
② 赤字決算でも「キャッシュフロー黒字」を見せる
赤字でも、減価償却などの“非現金費用”を考慮すればキャッシュフローが黒字のこともあります。
銀行は「返済原資=キャッシュフロー」で判断するため、
損益ではなく資金繰りベースで説明できるようにしておくと有利です。
③ 自己資金や代表者貸付金を見せる
経営者自身が「自分も資金を出している」ことを見せると、銀行はリスク共有を感じます。
代表者貸付金がある場合は、「資金繰りに活用可能」と説明できるよう整理しておきましょう。
第5章:追加融資が通りやすくなる「言葉の使い方」
銀行面談での言葉選び一つで、印象は大きく変わります。
❌ 「資金が足りなくて困っている」
✅ 「一時的な資金ギャップを埋めるために短期資金をお願いしたい」
❌ 「とりあえず借りたい」
✅ 「返済計画を立てた上で、確実に返せる範囲の融資をお願いしたい」
銀行は「計画的」「誠実」「数字で説明できる」経営者を信頼します。
最後に:資金繰り悪化は経営危機ではなく“改善のチャンス”
資金繰りが厳しいときこそ、会社の“お金の流れ”を見直すチャンスです。
このタイミングで資金繰り表を整え、銀行と信頼関係を築ければ、
次回の融資もスムーズになります。
資金繰りに悩んだら、早めに専門家に相談し、
「追加融資で息を整えながら、再成長するための仕組み」を整えていきましょう。
最後に:私が提供するサポート
私は、資金繰りに悩む経営者の方々に向けて、
- 資金繰り表・キャッシュフロー計画の作成支援
- 銀行提出用の事業計画書・改善計画書の作成
- 融資交渉におけるプレゼン指導
- 銀行とのリレーション構築サポート
を行っています。
「資金繰りが厳しい」と感じたその瞬間が、
再生への第一歩です。
資金調達の専門家として、御社の再スタートを全力で支援します。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。