税金

役員1人法人・親族法人でもできる!出張規程・社宅規程・確定拠出年金を活用した非課税所得の増やし方


はじめに

「うちの会社は役員1人だけだから…」「家族しかいない小さな会社だから…」
こうした会社では、節税の余地が少ないと思われがちです。

しかし実際には、社内規程や制度を整えるだけで、非課税所得を増やし、所得税や住民税、社会保険料を削減できる方法が存在します。

代表的なものが次の3つです。

  1. 出張規程
  2. 社宅規程
  3. 確定拠出年金制度(企業型DC)

本記事では、それぞれの仕組みと効果を解説し、役員1人法人や親族法人でも実践可能な「賢い節税の仕組みづくり」をご紹介します。


出張規程の活用

出張規程とは?

会社が役員や従業員に出張手当を支給するルールを定めたものです。
この規程に基づいて支給される「日当」は、給与課税されずに非課税所得として扱われます。

メリット

  1. 所得税・住民税の節税
     役員報酬を増やすとそのまま課税対象になりますが、日当は非課税扱い。
  2. 経費計上が可能
     会社側から見れば損金算入できるため、法人税の軽減効果も。
  3. 簡単に導入可能
     規程を定め、実際に出張実績があれば活用できる。

注意点

  • 出張の実態が必要(形式的な名目だけでは否認される可能性大)
  • 金額は「社会通念上相当」と認められる範囲内(過大な日当はリスク)
  • 出張報告書や旅費精算書を必ず保存

社宅規程の活用

社宅規程とは?

会社が役員や従業員に住宅を貸与する場合のルールを定めたものです。
「役員社宅」を導入すると、個人の住宅費負担を減らしつつ、会社の経費にすることが可能です。

メリット

  1. 個人負担の軽減
     役員が自宅家賃を会社社宅扱いにすることで、実質的な住宅コストが下がる。
  2. 会社の経費にできる
     会社は家賃を損金計上できる。
  3. 福利厚生の充実
     親族法人でも「社員の待遇改善」という形で活用可能。

注意点

  • 家賃の算定に「役員社宅の適正賃料計算」が必要(国税庁の定めあり)
  • 過大に会社負担にすると給与課税対象となる
  • 社宅規程を必ず整備しておくことが前提

確定拠出年金制度(企業型DC)の活用

確定拠出年金(DC)とは?

会社が掛金を拠出し、従業員や役員が自分で運用する年金制度。
個人型のiDeCoと違い、企業型DCでは 掛金を会社負担にできるのが特徴です。

メリット

  1. iDeCo自己負担分を会社負担にできる
     → 個人の手取りを減らさずに節税。
  2. 掛金は全額損金算入可能
     会社経費として扱え、法人税の節税効果あり。
  3. 社会保険料も削減できる
     役員報酬を減らしてDCに振り替えれば、社会保険料の負担も軽くなる。

注意点

  • 制度導入には規約の整備や金融機関との契約が必要
  • 掛金額には上限あり
  • 老後資金として原則60歳まで引き出せない

実例シミュレーション

(例)役員報酬600万円の1人法人

  • 出張規程を導入:年間20日出張×1万円=20万円を非課税に
  • 社宅規程を導入:自宅家賃12万円のうち8万円を会社負担、役員負担4万円
  • 確定拠出年金制度導入:役員報酬を月5万円減らし、その分を会社掛金に

👉 この組み合わせだけで、年間100万円近い税負担軽減と社会保険料削減が可能。


節税だけにとらわれないことの大切さ

  • 出張や社宅は「実態」がなければ税務リスク大
  • 確定拠出年金は資金拘束がある
  • 親族法人の場合、家族間での不公平感にも配慮が必要

節税はあくまで「経営の一手段」です。数字だけでなく、家族の生活や将来設計、会社の信用といった視点を加えることが重要です。


まとめ

  • 出張規程:非課税日当で所得税・住民税の節税
  • 社宅規程:家賃を経費化し、個人負担を軽減
  • 確定拠出年金制度:iDeCoを会社負担にし、税金+社会保険料を削減
  • 役員1人法人や親族法人でも導入可能

最後に

私は、役員1人法人や親族法人の経営者に向けて、節税と資金繰りを両立させる仕組みづくりをサポートしています。
「制度を導入すれば本当に得か?」「税務調査で問題ないか?」といった疑問に答え、実際のキャッシュフロー改善につながる提案をしています。

ホームに戻る