税金

個人事業主・マイクロ法人必見!家族経営だからできる節税とは!?

家族を役員や専従者にして給与を支払うことで節税する方法と注意点


はじめに

個人事業主や小規模法人(いわゆるマイクロ法人)の経営者にとって、税金は大きな悩みの種です。
売上が増えると比例して所得税や住民税の負担も増し、「働いているのに手取りが残らない」と感じる経営者も少なくありません。

そこで注目されるのが、家族を役員や専従者として給与を支払い、所得を分散する節税方法です。
家族に実際の労務を担ってもらうことで、税務上認められた経費として処理ができ、結果的に全体の税負担を軽減できます。

ただし、メリットばかりではなく、注意すべきデメリットも存在します。本記事ではその両面を整理し、経営判断の参考にしていただける内容にまとめました。


所得分散による節税の基本原理

日本の所得税は 超過累進課税制度 を採用しており、所得が増えるほど税率が高くなります。

  • 所得が低い部分は税率5%や10%
  • 所得が高くなると20%、23%、33%、45%と段階的に上昇

つまり、1人に所得が集中すると税率が高くなり、税負担が重くなります。
これを家族に分散すれば、それぞれの所得が低い水準に収まり、全体の税率を下げられるのです。


家族に給与を支払う方法

1. 個人事業主の場合:青色専従者給与

  • 青色申告をしている個人事業主が、事業に従事する家族に給与を支払う制度
  • 税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要がある。
  • 届出した範囲内で、労務の内容・労働時間に見合った給与額を経費にできる。

2. 法人(マイクロ法人)の場合:役員給与

  • 法人では、家族を役員や従業員として登記・雇用できる。
  • 役員給与は「定期同額給与」などの要件を満たす必要あり。
  • 従業員給与は就業規則や労働契約に基づき支給可能。

メリット(3つ)

① 所得税の節税効果

最も大きなメリットは、超過累進課税を回避できる点です。
例えば、経営者1人に1,000万円の所得が集中するよりも、配偶者に300万円、子供に200万円を支払い、経営者が500万円を残す方が、合計税額は低くなります。

② 社会保険料の調整

家族を役員や従業員にすることで、社会保険に加入させるか否かの選択肢が広がります。
法人化して社会保険に加入すれば将来の年金も増えますし、条件次第では扶養内に留めて保険料負担を抑えることも可能です。

③ 家族への正当な報酬とモチベーション

事業に貢献している家族に給与を支払うことで、正当な評価となり、家族のモチベーションアップや生活安定につながります。
結果的に「家族経営の一体感」が強まり、事業継続力を高める効果もあります。


デメリット(3つ)

① 手続きや要件を満たさないと経費否認される

  • 青色専従者給与は届出が必要。出していなければ全額経費否認。
  • 仕事の業務内容に対して不自然な高額給与は、否認リスクあり。

② 社会保険料の負担増

法人で家族を役員にすると、社会保険加入義務が生じ、経営者にとっては会社負担分の社会保険料が増える可能性があります。
節税になったはずが、社会保険料で逆にキャッシュフローが圧迫されるケースも。

③ 家族関係に影響するリスク

給与をどう分けるかは、家族内でトラブルの火種になりかねません。
「働きに見合っていない」「兄弟姉妹で差がある」といった不満が生まれると、節税どころか家庭不和や事業リスクにつながります。


実例シミュレーション

(例)事業所得1,000万円の個人事業主

  • 経営者1人の場合:所得税率33%、住民税10%で合計約430万円負担
  • 配偶者に300万円給与を支払い、本人700万円の場合:合計約370万円負担
    👉 年間60万円の節税効果

ただし、この場合も社会保険の加入要件や給与額の妥当性を満たす必要があります。


節税だけに囚われないことが重要

「節税できるからやる」という発想だけでは失敗します。

  • 家族に実際の業務を担ってもらえるか
  • 社会保険料や将来の年金にどう影響するか
  • 家族全体のライフプランと調和しているか

これらをトータルで考える必要があります。


まとめ

  • 個人事業主は「青色専従者給与」、法人は「役員給与」で家族に給与を出せる
  • 所得分散によって節税効果がある一方、手続き不備や社会保険料負担のリスクもある
  • メリット・デメリットを踏まえ、節税だけでなく家族の生活や事業の安定を重視して判断すべき

最後に

私は経営者の税務戦略において、単なる節税テクニックの提供ではなく、キャッシュフロー・社会保険・家族のライフプランを総合的に見据えたサポートを行っています。
「家族に給与を払うべきか?」「役員報酬の設定をどうすべきか?」といったお悩みに対し、最適なシミュレーションをご提供しています。

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