日本の税制で非課税所得はこんなにある!知らなかったら損!
〜非課税所得の一覧と経営者が見落としがちなポイント〜
はじめに
「非課税所得」という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどんなものがあるのかをすぐに答えられる経営者は少ないのではないでしょうか。
実は、日本の税制には「これが非課税なの?」という意外なものがたくさんあります。
非課税所得を正しく理解することは、無駄な税負担を避け、会社や個人のキャッシュフローを改善するヒントになります。
本記事では、非課税所得の一覧と、経営者が見落としがちなポイント、証拠や申告時の注意点を解説します。
非課税所得とは何か?
非課税所得とは、所得税法において「所得税を課さない」と明記されている所得のことです。
通常、所得には課税されますが、一定の性質や政策目的から課税が免除されているものがあります。
主な非課税所得の一覧(経営者が知っておくべきもの)
1. 生命保険・損害保険に関する非課税
- 生命保険・損害保険の保険金・給付金(一定範囲内)
→ 医療保険の入院給付金、手術給付金などは非課税所得。 - 損害保険金
→ 火災・地震などで被害を受けた時の保険金も非課税(ただし超過補填分は課税)。
2. 災害・盗難・横領に伴う見舞金等
- 災害や盗難で被害を受けた従業員に会社が支払う見舞金
- 罹災者に対する義援金・弔慰金
3. 雇用・労災・社会保険に関連する給付
- 雇用保険の失業給付金
- 労災保険の給付金
- 国民健康保険・協会けんぽの出産育児一時金、傷病手当金
4. 公的年金の一部
- 遺族年金・障害年金などの非課税年金
5. 教育・福祉関係
- 奨学金(返還不要のもの)
- 子ども手当・児童手当
6. 住宅・土地に関する非課税
- 土地の交換に伴う一定の譲渡所得(特定要件下)
- 自宅の火災保険金や災害見舞金
7. 少額な雑所得等
- 一時的な祝金・見舞金(一定範囲内)
- 慶弔見舞金
経営者が見落としがちな非課税所得
① 従業員への見舞金・弔慰金
一定の基準内であれば非課税。経営者が福利厚生として支払うときは、給与課税されないよう注意が必要です。
② 医療保険の入院給付金
法人契約の場合は課税対象になることもあるが、個人契約の入院給付金は非課税。
③ 災害や盗難による保険金
保険金で補填される金額は非課税。ただし、超過分は課税対象になることもあるので注意。
④ 役員や従業員への見舞金
災害見舞金・香典など、社会通念上相当な額であれば非課税。
確定申告の際のポイント
非課税所得は原則として申告不要ですが、申告書に記載が必要なケースや、他の所得と混同されやすいケースがあります。
必要なエビデンス(証拠書類)
- 保険金の支払い明細
- 義援金・見舞金の支給記録
- 罹災証明書(災害時)
- 領収書・契約書
注意点
- 「非課税=何でも記録不要」ではない
- 非課税か課税かの判断が難しい場合は税理士に相談
- 福利厚生費として支給する際は社会通念上の範囲を守る
事例で学ぶ非課税所得
事例1:シロアリ駆除による保険金
倉庫がシロアリ被害に遭い、火災保険の特約から保険金を受け取った場合、保険金は非課税所得。ただし補填額を超えた部分は課税。
事例2:災害見舞金の支給
台風で被害を受けた従業員に会社が見舞金を支給した場合、一定基準内なら非課税所得として扱われる。
事例3:遺族年金
経営者が万が一亡くなった場合、遺族が受け取る遺族年金は非課税所得。
経営者ができる実務対応
- 非課税所得の一覧を社内で共有し、給与課税との区別を徹底
- 保険金や見舞金の支給基準を就業規則や社内規程に明記
- 証拠書類を保存して税務調査に備える
まとめ
- 日本の税制には多くの非課税所得があり、正しく理解すれば税負担を軽減できる
- 生命保険・損害保険の給付金、災害見舞金、労災・雇用保険給付、遺族年金などが代表例
- 経営者は「給与課税されない条件」「エビデンスの整備」を徹底することで、余計な税負担や指摘を防げる
最後に
私はこれまで多くの経営者様に、非課税所得の正しい取り扱いや、証拠書類の整備についてアドバイスしてきました。
「これは課税される?されない?」という疑問が生じたときは、まず証拠を揃え、制度を確認することが重要です。
非課税所得を正しく把握し活用することで、キャッシュフローの改善・従業員満足度の向上・税務リスクの低減につながります。
ホームに戻る芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。