建設業
鉄骨は立った。でも会社にお金が残らない?」——鋼構造物工事業こそ必要な“財務分析”の視点とは
「仕事は大型、でも利益は小型?」——鋼構造物工事業の盲点
- 鉄骨加工・設置、橋梁補強など公共・民間を問わず案件豊富
- 工事金額は高額、会社の実績もある
- なのに、資金繰りが苦しい・決算で利益が出ない
これは、数字で見える経営ができていない証拠です。
鋼構造物工事業の利益が残りにくい3つの構造要因
1. 原材料費の高騰と価格転嫁の難しさ
- 鉄骨や鋼材の価格が世界情勢に大きく左右される
- 契約後の材料価格上昇分を請負契約に転嫁しにくい
- 値上がりによる実質赤字化リスクが常にある
2. 製作と施工の分離で実原価がつかみにくい
- 工場加工→現場設置という2段階構造
- 各工程の人件費・外注費が部門横断で発生しやすい
- 結果、案件別の利益が感覚に頼ってしまう
3. 工期の長さと資金固定リスク
- 1案件に半年〜1年以上かかるケースも
- 材料仕入れ、下請け支払が先行し、入金は工事完了後
- 資金の“寝かせ期間”が長く、資金繰りを悪化させやすい
財務分析で「本当に利益が出ている仕事」を見える化する
財務分析は、会計処理や税務申告とは違います。
“経営の意思決定に使える数字”を作る技術です。
財務分析が鋼構造物工事業にもたらすメリット
- 案件別の粗利率や利益構造の可視化
- 加工費/運搬費/現場施工費の分解とコスト最適化
- 鋼材価格上昇の影響を即座に把握し価格交渉に活かせる
- 資金繰り表の導入により、長期案件でもキャッシュ管理ができる
事例紹介:財務分析を導入して黒字体質へ変わった鉄構業者の実例
<事例①>部門別原価を可視化し「赤字工場」を改善
Y社では、加工部門と現場部門の費用を区別せず管理していた。
財務分析を導入し、部門別に原価を分解・把握。
赤字だった加工場の稼働率を見直し、外注比率の調整で利益率が8%改善。
<事例②>資金繰り表で借入過多の状態を是正
Z社では、大型工事に資金が固定され、常に運転資金が不足。
月次の資金繰りを可視化し、タイミングに応じた融資計画を事前立案。
結果、銀行評価が上がり、金利・融資条件ともに改善。
鋼構造物工事業に取り入れるべき財務分析ステップ5つ
- 案件ごとの「売上・加工費・外注費・施工費」を記録
- 製作と設置の工程別に原価を分けて集計
- 工期ごとのキャッシュフローを可視化
- 材料仕入れと入金のタイミングを管理
- 損益と資金繰りをセットで月次管理
「技術に強い会社」から「技術と数字に強い会社」へ
- 鉄骨や鋼材の品質・精度は今後も求められる
- しかし、利益を残せない会社は淘汰されていく
- 技術を武器にするなら、その裏付けとなる数字力が不可欠
まとめ:売上だけを見ていたら、利益は残らない
- 鋼材の仕入れコストを見誤る
- 加工と現場で利益が食いつぶされる
- 入金の遅れで資金が枯渇する
そんな経営リスクを回避するのが、財務分析の導入です。
数字が見える会社は、変化にも強くなります。
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当事務所では、鋼構造物工事業者さま向けに下記支援をご提供しています:
✅ 工事別粗利分析テンプレート(Excel対応)
✅ 部門別原価計算フォーマット(加工/施工)
✅ 鉄材価格上昇影響シミュレーション
✅ 資金繰り表(freee/MF対応)導入支援
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。