節税のつもりが会社を苦しめる!?生命保険を活用した資金戦略と、過剰保険が招く“見えない経営リスク”
はじめに|「とりあえず保険」に頼る経営は危険です!
あなたの会社では、こんな保険に加入していませんか?
- 「節税になりますよ」と勧められた大型の逓増定期保険
- 万が一に備えて役員全員にかけた長期保険
- 解約返戻金を退職金資金に…と話を合わせたプラン
実はこのような“安心のための保険”が、逆に会社を苦しめるケースが増えています。
この記事では、
- 法人保険をどう経営に活かすか
- 逆に、過剰加入がもたらすリスクとは何か
- 保険と資金繰りの正しい向き合い方とは
を、経営者視点でわかりやすく解説していきます。
法人保険=節税という“誤解”
法人保険でよくあるセールストーク
- 「半分損金になります」
- 「将来の退職金準備に最適です」
- 「解約返戻金で資金が戻ります」
確かに、保険料の一部または全部を損金処理できる商品もあります。
しかし、“節税=得”ではありません。
税金は減っても、キャッシュは減る。
節税できても、保険料は会社の現金で払っている。
→ キャッシュフロー経営の視点では“お金が出て行っている”状態です。
本当に危ないのは「過剰保険」
保険加入によるキャッシュ流出の構造
項目 | 内容 |
---|---|
月額保険料 | 50,000円〜200,000円以上 |
年間支払額 | 数十万〜数百万円単位 |
解約返戻金 | 数年後まで低水準(元本割れ) |
損金割合 | 50〜100%(商品により異なる) |
例えば、月10万円の保険に10年間加入すれば、1,200万円のキャッシュが社外に出て行くことになります。
→ 節税してもキャッシュが残っていないなら、本末転倒です。
実際にあった「保険が原因の資金繰り悪化」事例
製造業のA社(年商2億円)
- 節税目的で年200万円の法人保険を3本加入
- 毎年600万円の保険料を支出
- 売上不振により資金繰り悪化
- 保険を解約するも「返戻率80%」で損失+利益計上(課税)
結果、資金繰りにさらに拍車がかかり、銀行からの追加融資も断られた。
→ 保険で節税していたつもりが、資金ショートの引き金になったのです。
保険に加入する前に考えるべき「4つの問い」
- その保険料、もし手元に現金で残していたらどう使えたか?
- その保険、解約すると利益が出て課税されないか?
- 保険で払った分、いま資金繰りが苦しくなっていないか?
- “万が一”より“目の前の現金”が大事な場面ではないか?
→ 経営は「損金処理」より「キャッシュフロー」が命です。
保険は“出口戦略”が命
解約=利益計上=税負担!?
- 法人保険を解約すると、解約返戻金は「雑収入」として利益計上されます
- 節税目的だったのに、解約で逆に多額の税金を払うことに…
→ 退職金と同時に解約する
→ 欠損金とぶつける
→ 将来の赤字年度に合わせる
など、“解約のタイミング”まで設計しないと、節税どころか損失を出しかねません。
キャッシュフロー経営と保険活用は両立できるのか?
答えはYES、ただし前提条件があります。
- 保険料はあくまで“余剰資金”から
- 目的を明確に(退職金・事業承継・保障)
- 解約タイミングと利益計上のバランスを計画する
- 他の財務施策(借入・投資)との比較を行う
→ そして重要なのが、保険を“財務戦略の一部”として扱う視点です。
生成AI × 保険活用でシミュレーション可能な時代に
ChatGPTなどの生成AIを活用すれば:
- 保険加入によるキャッシュフロー変化の試算
- 解約時期ごとの税負担試算
- 保険 vs. 借入 vs. 内部留保の資金効率比較
が、数字で見えるようになります。
→ つまり、“営業トーク”ではなく“財務視点”で保険を選べる時代。
おわりに|「保険に入ってるから安心」は思考停止
法人保険は、経営者にとって便利なツールです。
でも使い方を誤れば、
- キャッシュを吸い取る
- 税負担を増やす
- 資金繰りを悪化させる
という、経営の足を引っ張る存在にもなり得ます。
ご相談ください|保険加入の見直し・財務設計サポート可能です
- 保険契約の“棚卸し”と資金繰りへの影響診断
- 解約シミュレーションと税負担試算
- キャッシュフローと経営計画に合わせた保障設計
- 保険と退職金、共済との最適な組み合わせ提案
“守りの保険”が、いつしか“攻めの財務戦略”に変わることも。
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