【保存版】事業所得の「経費」とは? 〜収入を得るための支出を正しく理解しよう〜
個人事業主やフリーランスとして活動する中で、避けて通れないのが「税金」の話。
その中でも、「経費」という言葉はよく耳にするのではないでしょうか?
「これは経費になるのかな?」
「どこまでが経費に含めていいの?」
「そもそも経費って何のためにあるの?」
そんな疑問を持つあなたに向けて、この記事では事業所得における「経費」の基本的な考え方を、わかりやすく・ていねいに解説していきます。
そもそも「事業所得」とは?
まず、「事業所得」という言葉の意味をおさらいしておきましょう。
国税庁の定義によると、事業所得とは、
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
つまり、会社に雇われるのではなく、自分で商売をして得た収入が対象になります。
この「事業所得」は、売上などの収入から、その収入を得るために必要だった経費を差し引いた金額で計算されます。
経費とは?簡単にいうと「仕事に必要なお金」
では、その「経費」とはどんなものでしょうか?
一言で表すならば、
「収入を得るために必要だった支出」が経費です。
たとえば、
- 仕入れた商品代
- 取引先への交通費
- 打ち合わせ時のカフェ代
- 事務所の家賃
- パソコンや文房具の購入費
- 業務に関する書籍
- ホームページの作成費用
などなど、「この支出がなければ仕事にならなかった」「この支出のおかげで売上が立った」というものが該当します。
経費にできる主な費目(例)
実際のところ、どんな支出が経費になるのか、具体例を交えて見てみましょう。
1. 消耗品費
パソコン周辺機器、文房具、名刺、プリンターのインクなど、使用期限が短く10万円未満のもの。
2. 旅費交通費
電車代、バス代、タクシー代、新幹線や飛行機のチケット代など、業務上の移動にかかった費用。
3. 通信費
スマホ代、インターネット料金、ドメイン・サーバー代など、業務に使う通信に関する費用。
4. 広告宣伝費
ホームページ制作費、チラシ印刷、SNS広告など、集客・販促に使った費用。
5. 会議費
カフェでの打ち合わせ代、ランチミーティングなど。接待ではなく「業務の打ち合わせ」であることが重要。
6. 外注費
ライター、デザイナー、プログラマーなど、他人に業務を依頼した際の報酬。
7. 減価償却費
10万円以上のパソコンやカメラなど、高額な設備投資は数年に分けて費用化します。
経費にできないものは?
一方で、「これは経費にできそうに見えて実はできない」ものもあります。
- 自分の飲食代(打ち合わせと無関係な食事)
- 家族との旅行費用
- プライベートで使う洋服
- 交際費で高額な贈り物
- 生活費の全額(家賃・水道光熱費など)
事業と直接関係のない支出は、経費にすることはできません。
ただし、自宅兼事務所の家賃や光熱費などは「按分」して経費にすることが可能です(後述します)。
「業務用」と「プライベート」を区別しよう
ここで大事なのが、「業務で使った割合だけ経費にできる」という考え方です。
たとえば、自宅で仕事をしている場合:
- 家賃:全体の30%を仕事部屋として使っている → 家賃の30%が経費
- スマホ代:仕事用に半分使っている → 通信費の50%が経費
このように、事業で使った分だけを「按分」して経費化することが可能です。
もちろん、「何を根拠に何%を経費にしているのか?」は明確にしておきましょう。
帳簿やメモにしておくことで、税務調査が入っても説明できます。
経費のメリット:節税につながる
経費をしっかりと計上することで、所得が減り、税金が安くなります。
たとえば、年間売上が500万円あるとして、
- 経費が50万円 → 課税所得450万円
- 経費が150万円 → 課税所得350万円
となり、最終的に納める所得税・住民税が変わってくるのです。
言い換えれば、ムダな税金を払わないためにも「正しい経費計上」は大切なのです。
経費にするために必要な3つのポイント
経費にできるかどうかを判断する際には、次の3点を意識しましょう。
1. 明確な業務関連性があるか?
「仕事のために使った支出か?」を常に自問する習慣をつけましょう。
2. 証拠(領収書・レシート)があるか?
金額、日付、支払先、用途がわかるものを保管しておくこと。レシートでもOKです。
3. 帳簿に正しく記録しているか?
会計ソフトなどを使って、日々の経費を漏れなく記録しましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. 領収書がない場合は経費にできない?
A. 原則として証拠が必要ですが、どうしてももらえなかった場合は「出金伝票」などで記録を残しましょう。
Q2. カフェで仕事したときのコーヒー代は経費?
A. 作業場所として利用した場合は「地代家賃」または「雑費」「会議費」などで経費にできます。
Q3. 家族に手伝ってもらったときの報酬は?
A. 原則として「専従者給与」として計上できますが、計上するためには、条件があります。
まとめ:経費は「正しく使えば」強い味方!
経費は、ただの「お金を使った記録」ではありません。
事業を効率的に運営し、納税額を最適化するための重要なツールです。
「これは経費になるのかな?」と迷ったときは、
- 仕事に必要だったか?
- 証拠が残っているか?
- 他人に説明できるか?
を基準にして判断しましょう。
不安があるときは、税理士や専門家に相談するのも一つの手です。
正しい知識を持って、スムーズな経理・節税を実現しましょう!
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。