節税より信用!創業期こそ税金を払って融資枠を最大化する経営戦略とは?
融資枠を大きくするには?
~ 開業・設立間もない法人こそ、税金を払うべき本当の理由 ~
はじめに:税金を払うのは「損」ではなく「信用の投資」
「なるべく税金を払いたくない」
これは、どの経営者でも一度は考えたことがあるはずです。
しかし――
設立したばかりの会社ほど、“節税”より“信用づくり”を優先することが大切です。
なぜなら、創業期の企業にとって最大の課題は、
「資金調達=融資を受けるための信用をどう築くか」だからです。
そして、その信用を裏付けるのが「税金をきちんと払っている姿勢」なのです。
この記事では、
- 税金を払うことがなぜ融資枠を広げることにつながるのか
- 金融機関がどこを見て融資判断をしているのか
- 開業初期でも融資に強くなる具体的な対策
を、実例を交えて詳しく解説していきます。
第1章 融資枠を広げるには“信用”がすべて
1-1. 銀行は「数字」よりも「姿勢」を見ている
金融機関は、融資を判断する際にまず決算書を見ます。
しかし、単純に「利益が出ているかどうか」だけでは判断していません。
ポイントは次の3つです。
| 評価ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 税金をきちんと納めているか | 法人税・消費税などの支払履歴 |
| ② 利益が安定して出ているか | 継続性・一過性でないか |
| ③ 資金繰りが管理されているか | 支払遅延・未納がないか |
つまり、銀行が見たいのは、
「税金を払える体力がある=安定した経営ができている」証拠です。
1-2. 黒字で税金を払うことは「信用の証」
設立間もない会社が黒字で納税をしていると、
銀行はこう判断します。
「経営者が資金管理を理解している」
「しっかりとしたビジネスモデルができている」
「返済原資(利益)がある」
つまり、納税は“数字による信頼”そのものなのです。
第2章 融資枠が広がる仕組みとは?
2-1. 税金を払うほど「法人の格付け」が上がる
金融機関では、企業ごとに「格付け(スコア)」をつけています。
これは、いわば“会社の通信簿”のようなもので、
融資上限額や金利条件に大きく影響します。
主な評価軸は以下の通りです。
| 評価項目 | 内容 | 銀行の見方 |
|---|---|---|
| 納税実績 | 税金を納めているか | 信頼度アップ |
| 利益水準 | 経常利益の安定性 | 返済能力評価 |
| 自己資本比率 | 債務超過でないか | 経営体力の指標 |
| キャッシュフロー | 現金収支が健全か | 支払遅延リスクを確認 |
つまり、節税で利益をゼロにするよりも、
少し税金を払ってでも黒字を維持するほうが、銀行のスコアは上がるのです。
2-2. 納税=“返済能力の証明”になる
銀行は、貸したお金を返してもらえるかどうかを「返済原資」で判断します。
この“返済原資”は、法人税を計算する「税引前利益」がベースです。
つまり、
税金を支払っている=税引前利益がある=返済原資がある
とみなされます。
逆に、毎年赤字で節税している会社は、
「返済能力がない」と判断され、融資枠が広がりません。
第3章 開業・設立まもない法人ほど“納税姿勢”が重要な理由
3-1. 銀行は「決算書3期分」を見て評価する
新設法人の場合、銀行はまだ決算書が1期または2期しかありません。
そのため、過去の実績で判断できない分、
「今期の数字」と「納税実績」で信用を測る」傾向が強いのです。
開業初期で節税ばかりしていると、
「利益を出せない会社」と見られ、融資枠が伸びにくくなります。
3-2. 税金を払う=社会的信用の構築
税金を払うことは、単に銀行だけでなく、
社会的信用の構築にもつながります。
- 取引先が安心して契約できる
- 不動産契約やリース審査も通りやすくなる
- 補助金・助成金の申請でも評価されやすい
つまり、納税は「信用を買う投資」なのです。
第4章 節税しすぎると融資に不利になる理由
4-1. 利益ゼロの会社は「返済能力ゼロ」とみなされる
銀行の評価指標は、
「利益=返済原資」「税金=支払能力」と連動しています。
極端な節税をして利益を圧縮すると、
融資の枠が広がらないどころか、
既存の融資枠を減額されることもあります。
4-2. 税理士が作る“見せ方”も重要
銀行は、決算書の数字だけではなく、
「税理士がどのように経営数値を整理しているか」も見ています。
たとえば、
- 決算書に余計な貸倒引当金を入れて利益を減らしていないか
- 適正な減価償却を行っているか
- 消費税未納などがないか
こうした点からも「財務リテラシーの高さ」が見られます。
第5章 融資枠を広げるための3つの実践策
①「黒字決算」を続ける
まずは、多少の税負担があっても黒字を維持することです。
2期連続黒字になれば、銀行の評価は一気に上がります。
②「納税証明書」を積極的に提出
銀行への融資相談時には、
「納税証明書(その1・その2)」を添付すると効果的です。
税金の支払実績を提示することで、信頼性が増します。
③「事業計画書」で未来の利益を見せる
開業初期の法人では実績が少ないため、
事業計画書で「今後の利益見通し」を明示することが重要です。
銀行は「未来の利益」にも融資を行います。
その際、納税計画も含めて作成すると、より高評価を得られます。
第6章 融資枠を広げるための考え方
融資枠を拡大するために最も大切なのは、
「返済原資の信頼性」と「納税姿勢」です。
金融機関は、“どれだけ借りたいか”より、“どれだけ返せるか”を重視します。
そのため、
- 利益を出して税金を払っている
- キャッシュフローを明確に管理している
- 将来の利益計画を数字で示せる
この3つを整えることで、融資枠は自然に拡大していきます。
第7章 融資に強い会社に共通する3つの特徴
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 毎期黒字で税金を払っている | 信用スコアが高くなる |
| ② 期中の資金繰りを常に把握 | 追加融資もスムーズ |
| ③ 金融機関と定期的に面談 | 信頼関係を継続的に構築 |
特に、創業期こそ「税金を払う=経営を信じてもらう第一歩」です。
最後に:節税より「融資が受けやすい決算」を
節税は、会社を守るための手段の一つ。
しかし、過度な節税は未来の成長を止める“資金ショートの種”にもなります。
開業・設立間もない今こそ、
「税金を払う=信用を積み上げる」経営を意識しましょう。
私は財務コンサルタントとして、
融資に強い決算書づくりや事業計画書作成、銀行面談サポートまで一貫して支援しています。
税金を“コスト”ではなく、“信用投資”に変える。
そのサポートで、あなたの会社の融資枠を最大限に広げていきましょう。
🔹まとめ
- 融資枠を広げるには「税金を払う=信用を得る」ことが第一歩
- 開業・設立初期の法人ほど「納税実績」が銀行評価を左右
- 節税よりも「黒字決算+資金計画」で未来の融資に備える
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。