確定申告後でもあきらめない!払いすぎた税金を取り戻せ!!
税額が少なくなるときは「更正の請求」で取り戻す方法(5年以内・条文根拠つき)
「計算を間違えていた」「控除を入れ忘れた」「経費が抜けていた」。
申告が終わっていても、税額が少なくなるなら取り戻せます。その正面ルートが更正の請求です。
1. 「官報申請」ではありません正式名称は更正の請求です
まず大前提から。
誤って「官報申請」と表現されることがありますが、税務手続きとして正しい名称は更正の請求です。これは、すでに提出した確定申告の内容を、納税者側から「減額方向」に直してほしいと申し出る手続き。税務署長あてに更正の請求書を提出して行います(電子申告可)。
2. 期限:原則は法定申告期限から5年以内
更正の請求は、法定申告期限から5年以内に行うのが原則です。条文の根拠は国税通則法第23条第1項。同条は、計算誤りや法律不適合により税額を過大に申告した場合などに、5年以内の請求を認めています(法人税の一部特例は10年)。 ゼイケン
国税庁も公式に、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税は「原則5年」に延長された旨を案内しています。いつの年分まで遡れるか判断する起点を必ず確認しましょう。 国税庁計算の窓口
さらに、国税庁の各手続案内(所得税・法人税)でも、5年以内の提出時期が明記されています。迷ったらまず公式の提出時期ページを確認しましょう。 国税庁
例:2023年分の所得税(申告期限:2024年3月15日)
- 5年カウントは2024年3月15日からスタート。
- よって2029年3月15日までに「更正の請求」を提出すれば間に合います。
3. 2か月ルールがある特別な場合(後発的事由)
5年ルールのほかに、判決の確定や他の税目・他の者の更正決定など「後から起きたやむを得ない理由(後発的事由)」に該当するときは、その事由が生じた日の翌日から2か月以内に「更正の請求」を認める特別規定があります(国税通則法第23条第2項)。該当可能性があるときは、発生日から即カウントなので要注意です。 ゼイケン
4. どんなときに使える?——よくある「取り戻せる」ケース
- 控除・特例の入れ忘れ
医療費控除、寄附金控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、住宅ローン控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除……「証憑があるのに書き漏らし」は王道の回収案件。国税庁や主要ソフト会社の解説でも、計算誤り・控除漏れは典型例として挙がります。 国税庁スモールビジネスを世界の主役に フリー株式会社 - 経費の計上漏れ
決算後に請求書・領収書が見つかった、計上期ズレを正したい等。 - 仕訳や集計ミス
消費税区分の誤り、二重計上/未計上など単純ミス。 - 還付申告をした人の追加要件
会社員の医療費控除等で「還付申告」を行っていた場合、提出日から5年という扱いになるケースがあるため、起算点の確認を(所得税FAQや各種解説参照)。 スモールビジネスを世界の主役に フリー株式会社
5. 何を出す?——更正の請求書の中身と証拠のそろえ方
国税通則法第23条第3項は、更正の請求書に記載すべき事項を定めています。要は、「どこをどう直すのか」「その理由・事情」「もとの税額・更正後の税額(や還付に相当する税額)」等を整然と記すこと。税務署長は請求があれば調査のうえ、更正するか/理由なしを通知します(同条第4項)。 ゼイケン
実務のポイント(チェックリスト)
- 訂正の根拠書類:領収書・請求書・契約書・証明書(住宅ローン控除証明、社会保険料の控除証明 等)
- 理由説明:何を見落とした/どう判明した/どの条文・通達に基づくか
- 計算明細:更正前後の税額差を「一目で」示す
- 関連申告との整合:所得税と住民税、消費税や源泉所得税など、関連税目の波及まで配慮
6. 申請の流れ(紙・e-Tax共通イメージ)
- 誤りの特定:どの年分・どの税目・どの行・何円差か。
- 根拠集め:領収書や控除証明、明細、社内承認記録。
- 計算やり直し:更正前→更正後の金額対比を作る。
- 更正の請求書の作成・提出(税務署長宛/e-Tax対応)。
- 税務署の審査:更正されるか、理由なしの通知か。
- 還付:還付と同時に利子税が付く場合あり(税目や状況により)。
※審査中でも、徴収の猶予は原則ありません(第23条第5項ただし書に猶予裁量)。資金繰り影響が出る税目は早めに。 e-Gov 法令検索
7. 期限に遅れない!——「5年」の数え方で迷わないコツ
- 起点は法定申告期限日。申告を早めに出していても、期限日からカウントします(例:所得税なら通常3/15)。 国税庁
- 法人税には、条文上「第1項2号」関係の一部で10年の扱いがある特例が明記されています(国際課税関係の純損失等などが典型)。一般の経営者は原則5年と覚えておけばOKですが、特殊論点は顧問税理士へ。 ゼイケン
- 後発的事由に当たるときは2か月以内。5年を過ぎるようなレアケースで逆転できる余地があるため、判決確定・他税目の決定など発生日を逃さないこと。 ゼイケン
8. 「修正申告」との違い——増税方向は修正申告、減税方向は更正の請求
- 納め過ぎ(減らす) → 更正の請求
- 納め不足(増やす) → 修正申告(いつでも提出可、ただし延滞税・加算税が発生し得る)
この区別は国税庁の一般案内でも繰り返し説明されています。申告後に気づいたら、方向(減・増)で使い分けましょう。 zenaoirobr.jp
9. 経営者が押さえるべき「勝てる提出書類」の三原則
- 事業関連性の明示
経費・控除は、事業関連性や適用要件が核心。条文・通達・Q&Aのレベルまでソースを添えると強い。 - 数字の再現性
「誰が見ても同じ金額が再計算できる」資料(明細・Excel・総勘定元帳・稟議の写し等)を付ける。 - 短期決着の設計
5年は長いようで短い。見つけたら即、証拠固め→提出。迷う論点は先に相談し、二度手間を防ぐ。
10. よくあるQ&A(実務の肌感)
Q1. 領収書が一部見つからない。出せないとダメ?
A. 「あるに越したことはない」ですが、合理的な説明と補強資料(通帳、請求書控え、メール、契約書、仕訳記録)で裏づけられれば通る余地は十分。最初から「ない」前提で突っ込まず、あるものを総動員しましょう。
Q2. e-Taxで出せる?
A. 可能です。添付ファイルの容量・形式制限に注意。紙での提出も有効。
Q3. 部分的にしか直らないかもしれない。それでも出す価値は?
A. あります。全部は通らなくても、通る部分だけでも還付されればキャッシュは戻ります。まずは定量化(いくら戻りそうか)を。
Q4. 更正の請求を出すと税務調査に来ますか?
A. 一律ではありません。むしろ証拠と理屈が整理されている請求はスムーズに処理されやすい。過度に恐れず、整った書類で堂々と。 辻・本郷 税理士法人
11. 経営的インパクト——キャッシュを戻し、指標も良くする
- 資金繰り:過納税の還付は、実質的に「無利息の貸付」を回収するイメージ。
- 財務指標:法人であれば当期純利益・自己資本にプラス影響(期間帰属は会計方針に沿って処理)。
- 銀行対応:根拠を整えた是正は管理力の高さとして好感度が上がることも。
12. 今日から実行:90分でできる更正の請求・準備手順
- 見直し対象の年度と税目を列挙(5年内か即チェック)。
- 控除・経費の漏れ候補を棚卸(医療費・寄附・保険料・共済・減価償却・在庫・消費税区分)。
- 証憑フォルダを作成(PDF・画像・通帳・メール・契約)。
- 更正前→更正後の税額比較シートを作る(差額の根拠メモ付き)。
- 更正の請求書に落とし込み、添付と論点メモをセット。
- 提出(e-Tax推奨)。受付電文や控えを必ず保存。
13. まとめ —— 申告は終わっても、経営は続く。取り戻す手は必ずある
- 更正の請求で、申告期限から5年以内なら減額方向の訂正が可能。条文根拠は国税通則法第23条。 ゼイケン
- 後発的事由は2か月以内の特例。見つけたら即アクション。 ゼイケン
- 国税庁も公式に「5年ルール」を案内。期限管理が命。 国税庁
- 諦めず、根拠と数字でまっすぐに。キャッシュは会社の命です。
最後に(さりげなくサポートのご案内)
更正の請求は、期限の見極め・根拠の組み立て・税額の再現性が勝負どころ。ここが整えば短期決着でキャッシュを戻せます。
必要であれば、請求書のドラフト作成、証憑の整備、税額差額のシート化までワンストップでサポートします。
「どこから直せばいい?」という段階でも大丈夫。今の年分から5年遡り、回収可能性の高い順に攻める進め方をご提案します。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。