コラム

【2025年9月スタート】税務調査がオンライン化へ!中小企業経営者が今すべき対応とは?


こんにちは!税理士の長岡です。今回は、「税務調査がデジタル化へ!」についての内容になります。最後までお読みいただけると幸いです。

はじめに:税務調査が“対面からオンライン”の時代に

令和7年(2025年)9月から、いよいよ税務調査のデジタル化(オンライン調査)が本格的に始動します。

対象は法人・個人問わず、すべての税目・納税者。
つまり、中小企業も例外なくオンライン調査の対象となるということです。

これにより、調査のやりとり・帳簿書類のやり取り・質疑応答などが、すべてオンラインで完結する時代が到来します。


税務調査のデジタル化とは?3つの柱

オンライン調査の主な内容は、以下の3つに大別されます。

① 連絡手段:インターネットメールでの連絡

これまで調査官とのやりとりは主に電話や対面でしたが、今後はインターネットメールでのやり取りが主流になります。

  • 調査前の通知
  • 質問事項のやりとり
  • 調査資料の送付依頼

こうしたプロセスが、メールを通じて行われるため、対応のスピードや記録の明確化が期待できます


② 面談:TeamsによるWeb会議で質疑応答

税務調査の中心である「質疑応答」も、対面ではなくMicrosoft TeamsなどのWeb会議で実施されるようになります。

これにより、遠方の事業所や在宅勤務中の経営者・税理士でも対応が可能になります。

  • 社長や担当者のスケジュールに合わせやすくなる
  • 面談場所の確保や移動が不要になる
  • 時間の短縮・効率化が実現

③ データ共有:PrimeDrive等で帳簿や証憑を提出

帳簿・証憑書類は、国税庁が指定するオンラインストレージサービス(PrimeDrive)などを使って、電子データでやりとりします。

  • 領収書・請求書・帳簿データのPDFやCSVファイルなどを共有
  • 紙資料の郵送や面前提示が不要
  • スピーディかつ正確な提出が可能に

これにより、紙の保管からの脱却や、会計システムとの連携による効率化が進むことになります。


導入スケジュール:まずは2つの国税局で先行開始

✅ 令和7年9月〜

金沢国税局・福岡国税局で先行導入

✅ 令和8年3月〜6月

全国の他国税局等へ順次拡大

全国一斉導入ではなく、段階的に導入されるため、該当エリアの事業者や顧問税理士は早めの体制整備が求められます


注意点①:オンライン調査は“強制”ではない

オンライン調査は、納税者の同意が前提となっており、強制的に行われるものではありません。

たとえば、

  • 面談だけは対面で行いたい
  • 書類の一部は郵送で提出したい

といった希望も柔軟に対応できる仕組みになっています。

ただし、オンライン調査を希望する場合は、以下の手続きが必要です:

  • 同意書の提出
  • メールアドレスの登録
  • Web会議システム(Teams等)の事前確認

注意点②:税理士・経理部門にも大きな影響

オンライン化の波は、経営者だけでなく、税理士や経理担当者にも業務面での変化をもたらします。

税理士の対応事項

  • 顧問先への制度説明
  • 電子データ提出のサポート
  • Teamsなどオンライン会議の環境整備
  • メールによる調査対応の代理実務

経理部門の対応事項

  • 証憑の電子化・整理
  • 会計ソフトとの連携強化
  • ファイル形式や保存形式の標準化
  • 社内の情報セキュリティ体制の見直し

オンライン調査のメリットとデメリット

✅ メリット

  • 時間の柔軟性が高まる
  • 書類提出のスピード向上
  • 調査記録がデジタルで残る
  • 移動や接触を避けられる(感染症対策)

❌ デメリット・課題

  • パソコン・ネット環境の整備が必要
  • ファイル形式や送信方法に不慣れな場合も
  • データ管理のセキュリティリスク
  • 従来の「空気感」ある調査との違いに戸惑いも

デジタル対応できる会社が選ばれる時代に

税務調査だけでなく、あらゆる行政手続きが「ガバメントソリューションサービス(GSS)」を基盤としたデジタル対応へ加速しています。

つまり、これからの時代は、

「紙での提出にこだわる会社」よりも
「デジタル提出に柔軟に対応できる会社」が
信頼され、行政対応もスムーズになるのです。


経営者が今すぐすべき対応3選

① 証憑類の電子保存体制の見直し

スキャンやクラウド会計(マネーフォワード、freeeなど)を活用し、
領収書・請求書などをPDF化・デジタル保存しましょう。


② 社内ネット環境とセキュリティの強化

  • パスワード付きファイルの作成
  • ウイルス対策ソフトの導入
  • TeamsなどWeb会議の動作確認

③ 顧問税理士との事前打ち合わせ

  • オンライン調査時の対応フローの確認
  • 書類の提出方法や共有方法のすり合わせ
  • 同意書などのフォーマットの準備

まとめ:今こそ「紙からの脱却」を進めるタイミング

税務調査のオンライン化は、単なる業務のIT化ではなく、経営の在り方そのものの変革です。

  • 書類管理のあり方
  • 税理士との連携の取り方
  • 社内の情報管理体制

これらを見直し、デジタルに強い会社へと進化していくチャンスと捉えましょう。


ご相談は当事務所まで

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デジタルに強く、信頼される会社づくりを一緒に進めていきましょう。

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