コラム
【中小企業の経営者必見】事業承継の現状と今すぐ始めたい「早期対策」|事例とデータで読み解く承継リスク
こんにちは!税理士の長岡です。今回は、「事業承継」についての内容になります。最後までお読みいただけると幸いです。
はじめに:事業承継は“明日の話”ではなく“今すぐ始めるべき課題”
中小企業の休廃業・解散件数は、年間約4万件という高水準が続いており、経営者の平均年齢は年々上昇しています。
実際に経営者の多くが60歳を超え、事業承継の準備が進んでいないのが現状です。
この記事では、最新の統計データや実例をもとに、事業承継の現実とその対策をわかりやすく解説します。
1.中小企業の現状:休廃業の背景には“承継の遅れ”
■ 統計データから見える危機
年 | 休廃業・解散件数 | 経営者平均年齢 |
---|---|---|
2013年 | 34,800件 | 約60歳 |
2023年 | 約40,000件 | 約63.8歳 |
経営者の高齢化が進む一方、後継者不在や承継準備不足により廃業を選ぶケースが増加しています。
2.事業承継に潜むリスクとは?
中小企業庁の調査によると、経営者が70歳以上で後継者未定の企業は3割以上にのぼります。
■ よくある問題
承継時の問題点 | 割合(参考データ) |
---|---|
後継者の経営能力 | 33.0% |
親族間の相続問題 | 22.5% |
技術・ノウハウの継承 | 28.0% |
借入金の個人保証 | 18.5% |
金融機関との関係性維持 | 15.6% |
➡ “人・知識・関係性”の承継が滞ることで、事業の継続性が危ぶまれるのです。
3.ケーススタディ:承継の準備不足で起きた“現実”
■ CASE1:創業者の判断能力低下で混乱
- 食品製造業の創業者Aは、近年判断力が低下
- 親族後継者も不在、共同経営者Bも健康不安で退任希望
- 債務保証が個人資産を超過し、相続時に多額の債務が残る可能性
➡ 早期に第三者承継やM&Aを検討すべきだった例
■ CASE2:ノウハウが伝わらず信頼失墜
- 機械製造業の創業者Cが長男Dを取締役に
- しかし、創業者の理念や技術が十分に伝わらず
- 取引先との関係性構築にも不安が残る
➡ 経営の想いや関係性の“見える化”ができていなかったため、継続性が不安定に
4.「見えない資産=知的資産」の承継が成功のカギ
■ 知的資産とは?
- 創業の想い・企業理念
- 顧客との信頼関係
- 技術やノウハウ
- 社員との人間関係や社風
これらは財務諸表に表れない「会社の価値」そのもの。
時間をかけて、“見える化”と共有を進めることが重要です。
5.なぜ「早期の事業承継対策」が不可欠なのか?
- ✅ 経営者の体調や判断能力は急に変化する可能性がある
- ✅ 銀行・取引先との関係継続にも時間がかかる
- ✅ 後継者教育には年単位の期間が必要
- ✅ 相続税や株式評価などの対策にもタイムリミットがある
➡ 「まだ元気だから大丈夫」では遅いのです。
6.今すぐできる!事業承継の第一歩
- 後継者候補との対話を始める
- 経営理念・強みを言語化・資料化する
- 取引先・金融機関に承継の方向性を共有する
- 顧問税理士・支援機関と承継対策を計画する
7.支援制度・専門家の活用を
- ✅ 認定経営革新等支援機関のサポート
- ✅ 事業承継・引継ぎ補助金の活用
- ✅ M&A支援機関・事業承継ネットワークとの連携
専門家の力を借りることで、感情面・法務面・税務面を総合的にサポートできます。
まとめ:事業承継は「会社の未来を守る」経営戦略
事業承継は、単なるバトンタッチではなく、「企業の価値を次世代へとつなぐ戦略的な経営判断」です。
後継者の有無だけでなく、“引き継ぐべき価値”を整理し、社内外と共有することが継続経営への第一歩です。
ご相談はお早めに
- ✅ 後継者がまだ決まっていない
- ✅ 相続や保証の整理に不安がある
- ✅ 技術や人脈を次世代へうまく引き継ぎたい
そんな時は、当事務所までお気軽にご相談ください。
税務・財務を含めた総合的なサポートを行っております。