借入に頼る経営は限界が近い!自転車操業から抜け出す財務改善の具体策を解説
借入金に頼りすぎていませんか?
〜自転車操業から抜け出すための経営再生の考え方〜
はじめに
「今月もなんとか支払いはできた」
「次の入金が来たら返済もできるはず」
「まだ借りられる銀行があるから大丈夫」
もしこのような感覚で経営を続けているなら、危険信号です。
あなたの会社はすでに “自転車操業状態” に近いかもしれません。
借入金を活用すること自体は悪いことではありません。
しかし、借入金に頼りすぎる経営は、資金繰りの自由を奪い、事業の未来を縮めてしまう可能性があります。
本記事では、
- 借入金に頼りすぎている状態のサイン
- 自転車操業の本当の怖さ
- どうすれば抜け出せるのか?
- 改善した企業の事例
をわかりやすく整理し、経営者が今すぐ行動に移せるヒントをお伝えします。
1. 借入金に頼りすぎている状態とは?
① 借入が“資金繰りの常態化”になっている
- 毎月の返済を別の借入で補っている
- 返済と借入の金額がほぼ同じ
- 新しい借入をしないと、支払いが回らない
このような状況は「返済のための借入」をしている状態であり、典型的な自転車操業です。
② 現金残高が常にギリギリ
- 入金予定と支払予定が同じ日に重なっている
- 銀行残高がいつも数十万円〜数百万円しかない
- 手形期日や給与支払日にヒヤヒヤしている
資金繰り表を作成していない経営者ほど、この状況に陥りやすいです。
③ 銀行からの借入枠が限界
- すでに主要取引銀行から借入を受けており、追加融資が難しい
- ノンバンク(ビジネスローン)やリース会社に頼っている
この段階になると、通常の金融機関では「融資が難しい会社」と判断されます。
2. 自転車操業がもたらす3つの危険
危険①:資金繰りの自由が奪われる
借入返済に追われると、投資や新規事業への資金が回らなくなります。
結果的に「稼ぐ力」が衰え、さらに借入が必要になるという悪循環に陥ります。
危険②:銀行評価が急落する
銀行は「返済能力」を最も重視します。
返済原資(利益+減価償却費)が足りない状態が続くと、銀行は次のように判断します。
「この会社は新規融資を出しても返済できない」
そして、追加融資どころか、既存借入の更新も難しくなります。
危険③:経営判断が“短期的”になる
資金繰りに追われる経営者は、未来を見る余裕を失います。
「今月を乗り切る」「今期だけ黒字にする」など、短期志向に陥り、長期的な利益創出が難しくなります。
3. 銀行が見ている“危険ライン”とは?
債務償還年数(借入金の返済にかかる年数)
債務償還年数=有利子負債 ÷(税引後利益+減価償却費+支払利息)
この数値が 15年を超えると要注意、20年を超えると融資困難 です。
借入金残高 ÷ 月商
- 3倍以内 … 健全
- 6倍 … 注意
- 12倍超 … 危険
もし自社がこの基準を超えているなら、すでに「借入依存」の可能性があります。
4. 借入依存から脱却するための改善策
改善①:資金繰り表を作成する
まずは現状を「見える化」しましょう。
- 入金・出金の時期を把握
- キャッシュ残高がどの月で減るのかを確認
- 借入返済を含めた資金計画を立てる
銀行も資金繰り表を出せる会社を高く評価します。
改善②:利益を出す構造に変える
- 原価を把握し、粗利率を改善する
- 売上よりも「キャッシュを残す」ことを優先
- 不要な固定費(広告・外注・車両など)を削減
利益を生み出す構造をつくることで、返済に頼らない経営に変わります。
改善③:返済条件の見直し(リスケジュール)
返済が厳しい場合、銀行に相談すれば「返済期間延長」や「元金据え置き」も可能です。
ただし、誠実な数字と説明資料がなければ認められません。
改善④:資産の整理
- 使っていない設備・車両・不動産を売却して借入金を圧縮
- 資産を持ちすぎると、固定費も増えます
改善⑤:財務診断を定期的に行う
決算が終わるたびに、債務償還年数や自己資本比率をチェック。
数字を把握していれば、悪化の兆候を早期に発見できます。
5. 改善によって得られる3つのメリット
メリット①:銀行からの信頼が上がる
財務改善を実行している会社は「数字を理解して行動できる経営者」と評価されます。
結果として、融資条件の改善や新規融資のスピードが速まります。
メリット②:資金繰りに余裕が生まれる
返済に追われることがなくなり、手元資金が増えることで心理的な安心感も得られます。
攻めの投資もできるようになります。
メリット③:経営判断が長期的になる
資金に余裕ができると、設備投資・採用・マーケティングなど、未来への投資がしやすくなります。
結果として、利益率の高い安定した会社へと成長します。
6. 事例:借入依存から脱却した企業
事例1:小売業A社
複数銀行から借入をしていたが、常に資金不足。
→ 財務コンサルの支援を受け、資金繰り表を導入。返済条件を見直し、利益改善に成功。
2年後には借入金残高を半減し、黒字経営へ転換。
事例2:製造業B社
赤字体質だったが、月次決算と財務診断を導入。
→ 経営数字をもとに在庫圧縮を実施し、キャッシュフロー改善。銀行評価も上昇し、金利を0.8%下げることに成功。
7. 経営者へのメッセージ
借入は経営の武器でもあります。
しかし、使い方を誤ると「資金の自由」を失い、事業のチャンスを逃します。
「まだ借りられるから大丈夫」ではなく、
「借りなくても大丈夫な経営を作る」ことこそ、本当の財務力です。
その第一歩は、自社の数字を正しく把握すること。
資金繰り表を作り、財務診断を受け、現実と向き合うことです。
そして、行動を変えた会社だけが、借入依存から脱却し、未来を切り拓いていけます。
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