設立・法人成り

友人と会社を設立する前に知っておきたいこと!失敗しないようにするには!?

~出資比率・代表者・取り分の決め方から成功・失敗事例まで徹底解説~


はじめに

「親しい友人と一緒に起業しよう!」
このような話は珍しくありません。友人同士で会社を設立すると、信頼関係があるため意思疎通がしやすく、アイデアを形にしやすいという魅力があります。

しかし、感情や信頼だけで突き進むと、後で大きなトラブルになるリスクがあるのも事実です。
特に、出資比率や代表者、利益の取り分、意思決定ルールなど、設立前からきちんと取り決めをしておかないと、のちに経営が頓挫したり友情が壊れたりすることもあります。

本記事では、法人設立や法人成りをかず多く支援してきている税理士が友人と会社を設立する際のポイントを整理し、メリット・デメリット、成功・失敗事例を交えて経営者にわかりやすく解説します。


友人と会社を設立する際に決めておくべきこと(チェックリスト)

1. 出資比率

  • 出資額に応じて持ち株比率を明確に決める
     → 出資額=議決権の比率とするのが基本。
  • 少数株主の権利保護を考える
     → たとえば50:50だと決定が止まりやすいので注意。

2. 代表者・役割分担

  • 代表取締役を誰にするか
     → 会社の外部窓口、銀行・税務署への届出、契約締結など代表者が一手に担う。
  • 役割分担を明文化する
     → 営業・管理・経理・技術など、責任範囲を決める。

3. 利益の取り分・報酬の設定

  • 出資比率と報酬は必ずしも一致しない。
  • 「役員報酬」と「配当」を分けて設計する。
  • 将来の利益配分ルール(増資・第三者出資時)も取り決める。

4. 意思決定ルール

  • 定款や株主間契約に「重要事項決議の方法」を記載。
  • 50:50のときは第三者を交えた決定プロセスを準備する。

5. 退出・株式売却のルール

  • どちらかが辞める場合、株式をどう扱うか明文化する。
  • 株式の譲渡制限条項を定款に入れる。

6. 知的財産・ブランド権利の取り扱い

  • ロゴ、商標、顧客リストなどの帰属を明確に。

友人と会社設立するメリット

  1. 信頼関係がある
     → スタート時に意思疎通がスムーズで意思決定が早い。
  2. スキル補完ができる
     → お互いの強みを活かせる(営業・技術など)。
  3. 資金調達がしやすい
     → 出資を分け合うことで自己負担が軽くなる。
  4. モチベーション維持
     → 仲間がいることで精神的な支えになる。

友人と会社設立するデメリット

  1. 感情が経営判断に影響しやすい
     → 「友情>利益」になると経営がブレる。
  2. 役割・責任の曖昧化
     → トラブル時に「誰の責任か」不明確。
  3. 意思決定の停滞
     → 50:50出資で意見が割れると決定が進まない。
  4. 別れにくい
     → 株式・役職・資産の処理が複雑で関係悪化しやすい。

成功事例

事例1:役割を明確化したITスタートアップ

営業担当のAさん、技術担当のBさんが共同出資(60:40)。
代表は営業のAさんが就任し、BさんはCTOとして技術に専念。
役割分担と議決権を事前に決めたことで、意思決定が早く、3年で年商5億円に成長。

事例2:株主間契約を整備した飲食店経営

友人3人で飲食店を設立。
株式の譲渡制限、退職時の株式買取ルールを契約書に明記。
1人が家庭の事情で抜けたときもスムーズに株式譲渡ができ、残り2人で経営を継続できた。


失敗事例

事例1:50:50出資で意見が割れて停滞

友人2人で50:50出資し会社を設立。
重要な投資判断で意見が割れ、数か月意思決定ができず事業機会を逃す。最終的に会社清算。

事例2:報酬・利益配分の取り決めがなくトラブル

3人で会社設立、報酬・配分ルールを曖昧にしたため「自分だけ働いているのに取り分が同じ」と不満が爆発。結果的に1人が離脱し裁判沙汰に。


経営者へのアドバイス(実務対応)

  • 定款だけでなく株主間契約書を必ず作る
  • 出資比率を「51:49」など決定権を持たせるよう調整
  • 株式譲渡制限や退職時の株価算定方法を明文化
  • 役員報酬・配当・役割分担を定期的に見直す

まとめ

  • 友人と会社設立する場合は、出資比率・代表者・役割・利益配分・意思決定ルールを事前に決めることが重要
  • メリットは信頼・補完・資金負担の軽減、デメリットは感情や責任の曖昧化
  • 成功事例では役割分担・契約整備が共通点、失敗事例では曖昧さが原因
  • 「友情と経営は別物」と割り切り、契約でルール化することが円満経営の第一歩

最後に

私は、これまで多くの経営者の会社設立や共同経営の相談に携わってきました。
友人同士で起業すること自体は素晴らしい選択ですが、信頼を守るためにこそ契約やルールを先に決めることが大切です。

最初の段階で「決めにくいこと」こそ話し合い、書面にしておくことで、友情も会社も長く続きます。
経営者としての未来を守るために、設立前から慎重な準備をおすすめします。


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