本店移転も「1日」を避けると均等割の節税効果が!
ただし税金以外の環境要因も踏まえて判断すべき理由
はじめに
会社設立時に「1日設立を避けると均等割が節税できる」という話を耳にした経営者は多いでしょう。実は同じ理屈で、本店移転でも“1日”を避けることで均等割を1か月分節税できるケースがあります。
ただし、税金面のメリットだけに目を向けるのは危険です。経営は数字だけで成り立つものではなく、会社を取り巻く人・環境・タイミングもまた重要な判断材料になります。
本記事では「均等割の仕組みと節税効果」「本店移転における注意点」「税金以外の要因を踏まえた意思決定の大切さ」を整理し、経営者がバランスの取れた判断を下せるよう解説します。
均等割とは?復習しておこう
均等割は法人住民税の一部で、利益に関係なく必ず課税される“最低限の税負担”です。
- 法人市町村民税の均等割
- 法人都道府県民税の均等割
から成り立ち、会社が存続している限り、赤字であっても必ず納める必要があります。
金額の目安
- 最低で年間7万円前後
- 資本金や従業員規模によって数十万円に及ぶこともある
均等割の計算ルールと「1日移転」の落とし穴
均等割は月単位で計算されます。1日でも事業所が存在すれば、その月は1か月分カウントされる仕組みです。
本店移転時のポイント
本店を移転すると「移転元」と「移転先」の自治体で均等割が課税されます。
- 移転日が1日の場合
→ 移転元でも1か月分、移転先でも1か月分。二重課税に近い状態。 - 移転日が2日以降の場合
→ 移転元の月はカウントされず、移転先からカウント。結果として1か月分節税できる。
例
- 4月1日に本店移転 → 移転元・移転先ともに4月分が課税対象
- 4月2日に本店移転 → 移転元の4月分は切捨て、移転先でのみ4月分が課税対象
👉 たった1日の違いで、数万円の負担差が生じます。
節税だけを優先することのリスク
もちろん税金は会社にとって大きなコストです。均等割を1か月分節約できれば、その分キャッシュを温存でき、他の投資に回せます。
しかし、経営は税金だけで判断して良いものではありません。
1. 運勢・縁起を大切にする考え方
経営者によっては「大安吉日に移転したい」「占いでこの日が良いと言われた」など、運勢を重視する方もいます。
この場合、数万円の節税よりも長期的な会社の運気・社員の士気を優先するのが合理的です。
2. 実務上の利便性
- 契約更新や賃貸契約の都合
- 金融機関への届け出期限
- 社会保険・登記手続きの関係
これらは月初に揃えておいた方がスムーズに処理できるケースが多く、事務効率>節税効果になることもあります。
3. 社員や取引先への影響
移転日は会社の一大イベントです。社員の士気、取引先への案内、システム切替のタイミングなど、関係者全体にとってのベストな日を選ぶことが、税金以上の価値を生むことも少なくありません。
節税と環境要因をどう天秤にかけるか?
経営者は、税金を抑える視点と、会社の未来を築く視点の両方を持たなければなりません。
- 節税のメリット
→ 数万円の固定費削減、キャッシュフロー改善。 - 環境要因のメリット
→ 運勢・社員のモチベーション・取引関係の安定・事務効率化。
これらを総合して「会社にとって最も合理的な選択」をするのが経営判断です。
まとめ
- 均等割は月単位課税。1日でも存在すれば1か月分カウントされる。
- 設立だけでなく、本店移転でも「1日」を避けることで1か月分節税が可能。
- ただし、運勢・契約・事務効率・社員や取引先への影響など、税金以外の要因も大切。
- 経営は税金だけでなく、数字と環境のバランスを取ることが成功への鍵。
最後に
私はこれまで多くの経営者に対し、会社設立や本店移転に伴う税務判断だけでなく、経営環境全体を踏まえた意思決定をサポートしてきました。
「節税効果と運勢や事務効率、どちらを優先すべきか?」
その答えは、会社の状況や価値観によって変わります。
大切なのは、税金の数字に縛られるのではなく、会社の未来にとって最も良い選択をすることです。
その判断の一助となるよう、税務と経営の両面からアドバイスを提供しています。
芦屋市で税理士をしています、ながさん(長岡昭宏)です。1987年生まれ。兵庫県西宮市で生まれ育ち、現在、芦屋市に在住。未来会計や資金繰りやバックオフィスのDX化などのお困りごとを中心に、経営者の伴走支援をしています。懇切丁寧に明るく元気にサポートいたします。