コラム
【2025年4月施行】新制度「出生後休業支援給付金」とは?~企業経営者が知っておくべき実務ポイント~
2025年4月1日から、改正雇用保険法により新たな給付制度「出生後休業支援給付金」がスタートしました。
この制度は、従来の育児休業給付に上乗せされる形で、実質的に賃金の「手取り100%」を保障する内容です。
経営者にとっては、「従業員が安心して育休を取得できる環境を整備すること」が今後さらに求められます。
この記事では、制度の概要・支給条件・金額計算方法・実務上の注意点を、わかりやすく解説していきます。
1.出生後休業支援給付金とは?
「出生後休業支援給付金」は、育児休業を取得する従業員への新たな経済的支援です。
■従来の育児休業給付
- 育児休業開始後、原則として**賃金の67%**が支給
- 社会保険料・税金が非課税 ⇒ 手取りベースで約80%相当
■新制度の特徴
- さらに13%の給付金が追加支給
- 実質「手取り100%」相当の支援を実現
- 名称:出生後休業支援給付金
- 目的:男女ともに育児休業を取得しやすくする
2.支給額の計算方法と条件
■支給額の計算式
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業日数(最大28日) × 13%
例)日額賃金:10,000円/14日間休業の場合
→ 10,000円 × 14日 × 13% = 18,200円
■最大支給日数
最大28日間が対象になります。
■支給要件(両親ともに育休取得)
要件項目 | 内容 |
---|---|
1 | 両親とも14日以上の育休を取得すること |
2 | 父親:出生後8週間以内に取得すること |
3 | 母親:産休後8週間以内(育休開始から8週間以内)に取得すること |
3.企業が押さえておくべき実務対応ポイント
■① 就業規則や育休制度の見直し
- 育休取得可能期間の説明を明確に
- 育休申請~承認までのフロー整備
- 両親ともに育休を取得できる業務体制の再構築
■② 社内への制度周知
- 社内報・チャットツールでの紹介
- 制度説明ミニセミナー開催
- 育休取得者の体験談を共有
■③ 業務引き継ぎ・代替要員の整備
両親が同時期に休業する可能性もあるため、業務の属人化を防ぐ必要があります。
引継ぎマニュアル・代替体制の整備が重要です。
4.経営的視点でのメリットと留意点
■メリット:従業員満足・人材定着率アップ
- 子育てと両立できる職場 → 離職防止につながる
- 若手人材の定着・採用にも好影響
- 企業ブランド向上
■注意点:業務体制・労務管理の見直しが必要
- 同時に複数の育休取得 ⇒ 人手不足のリスク
- 社会保険・勤怠管理の運用体制見直しが必要
- 外注や自動化ツールの検討も視野に
5.まとめ:中小企業こそ制度を活かすチャンス
今回の「出生後休業支援給付金」は、企業にとっても人材戦略上のチャンスです。
人手不足や人材定着に悩む企業こそ、こうした制度を活用することで「従業員ファースト」の企業文化を築くことができます。
6.経営者が今すぐできるアクション
- 就業規則に給付金制度を明記
- 制度説明会の実施
- 育休取得希望者との面談
- 業務マニュアル・引継ぎフローの整備
- 総務担当者向け運用マニュアルの作成
おわりに:制度を「投資」としてとらえよう
「制度対応=コスト」ではありません。
従業員の満足度は、企業の生産性やイメージアップに直結します。
今回の制度を活用し、「子育てもキャリアもあきらめない職場」を目指してみてはいかがでしょうか?
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厚生労働省「2025年4月から『出生後休業支援給付金』を創設します」
ニュースレター『知らないと損するお金や税金ニュースVol.103』